CAPLETON/More Fire
ジャマイカのレゲエ・ダンスホール・アーティスト、ケイプルトンのアルバム『More Fire』は、2000年5月16日にヴィーピー・レコードよりリリースされました。ダンスホールとレゲエを融合させた本作は、ヒットシングル「Who Dem?(Slew Dem)」と「Jah Jah City」を収録し、ビルボード・レゲエ・アルバム・チャートで3位を記録しています。オールミュージックは本作を「白熱したビートと思考を刺激する詩の引き締まったパッケージ」と評し、スピン誌は10点満点中9点という高評価を与えています。全20曲・65分17秒という圧倒的なボリュームで、ケイプルトンの思想と音楽が余すところなく詰め込まれた意欲作です。
ジャンルと音楽性
ダンスホールとレゲエを核に据えながら、コンテンポラリー・レゲエとラガの要素を横断するサウンドが持ち味です。前半は攻撃的なダンスホールのエネルギーが全開で、後半にかけてルーツ・レゲエのスピリチュアルな深みへと移行していく構成が見事です。ケイプルトンのトースティングは説教者のような熱量と詩人の繊細さを併せ持ち、ラスタファリアンとしての思想的バックグラウンドが全編に渡って色濃く滲み出ています。ジャーへの信仰、社会への批評、ダンスフロアの高揚感が三位一体となった唯一無二のスタイルが、このアルバムの真骨頂です。

CAPLETON/More Fire
おすすめのトラック
- Danger Zone
アルバムの幕開けを飾る、ケイプルトンの攻撃的なダンスホール・スタイルが全開の一曲です。
「イントロ」の「Fire Chant」に続いてすぐに炸裂するこのトラックは、重厚なリディムの上でケイプルトンのシャープなトースティングが縦横無尽に動き回る疾走感が際立っています。「危険地帯」というタイトルが示す通り、このアルバムが何者かを最初の数分間で完璧に伝えてくれます。 - Who Dem? (Slew Dem)
アルバムの最大のヒットシングルのひとつで、キング・ジャミーとワード21がプロデュースを担当した疾走感あふれる一曲です。
ダンスホール史に残るキャッチーなコーラスとケイプルトンの切れ味鋭いトースティングが融合したこのトラックは、世界中のダンスフロアで長年にわたって鳴り響いてきた不滅のアンセムです。 - Jah Jah City
もうひとつのヒットシングルで、ラスタファリアンとしてのケイプルトンの信仰と哲学が最も純粋な形で体現された一曲です。
ジャーへの賛歌としてのメッセージと、メロディックなレゲエのグルーヴが融合した本曲は、ダンスフロアで踊れると同時に、深く内省させる二刀流の名曲です。アルバムの中で最もルーツ・レゲエ的な響きを持つハイライトです。 - The More Them Try
抵抗と持続性をテーマにしたアルバム屈指の力強い一曲です。
「彼らがどれだけ試みても」というタイトルが示す通り、逆境に屈せずに立ち続けるラスタファリアンの精神が音楽に昇華されています。アルバム前半を構成するアグレッシブなダンスホール・トラックのひとつとして、最初の5曲がいかに圧倒的なエネルギーを持っているかを体現しており、この流れの中でも特にメッセージの深さが際立っています。
アルバム総評
オールミュージックが「白熱したビートと思考を刺激する詩の引き締まったパッケージ」と評し、スピン誌が9点という高評価を与えた本作は、ダンスホールとルーツ・レゲエの橋渡しを見事に実現した2000年を代表するレゲエ・アルバムです。全20曲・65分という圧倒的なボリュームながら、前半の攻撃的なダンスホールから後半のスピリチュアルなルーツへという流れが一本の物語として機能しており、最後まで聴き通させる求心力が本作の最大の強みです。ラスタの炎は、20年以上が経過した今も少しも冷めていません。
🎵Jah Jah City



