Coffin Nails/Hard As Nails
イングランド・リーディング出身のサイコビリーバンド、コフィン・ネイルズの7thスタジオアルバム『Hard As Nails』は、2003年にグレイストーン・レコードよりリリースされました。ファウンダー・メンバーのヒュマンガス、14年以上在籍するベーシストのマッドマン・スコット、そして新ドラマーのクライヴという布陣で録音された本作は、バンドがルーツへと立ち返ることを宣言した作品です。アルバムは随所でこれまでよりもダークで速く、一方でバンドのトレードマークとなっているユーモアのタッチも健在という、コフィン・ネイルズの真骨頂が詰まった全13曲です。
ジャンルと音楽性
サイコビリーを核に据えながら、パンクの爆発力とロカビリーの躍動感を独自のバランスで融合させてきたコフィン・ネイルズは、本作でよりダークでファストな方向へと大きく舵を切りました。高エネルギーとユーモアというバンド独自のトレードマークは一切損なわれることなく、むしろ成熟と深みを増した形で全編に息づいています。スラップベースよりもエレクトリックベースを重用することで、ロカビリーよりもパンクロック寄りのサウンドを確立してきたバンドの独自性が、本作でも随所に光っています。

Coffin Nails/Hard As Nails
おすすめのトラック
- Freaks Come Out
アルバムの幕開けを飾る、コフィン・ネイルズの本領発揮オープナーです。
「フリークスが出てきた」というタイトルが示す通り、このバンドお得意のアウトサイダー精神とホラー的サイコビリーが全開になっています。アルバムの中でも特にダークでファストな面が際立っており、バンドがルーツへと立ち返った本作のコンセプトを最初の一音で宣言します。 - Hard As Nails
アルバムのタイトルトラックにして、バンドの哲学を一曲に凝縮した重要曲です。
「釘のように硬く」というタイトルが示す通り、コフィン・ネイルズが20年近いキャリアを通じて貫いてきた反骨精神と不屈の姿勢が音楽として結晶化しています。ヘヴィなリフと躍動するリズムが一体となった、このアルバムの精神的な核心部です。 - Psycho II
バンドの代名詞的なサイコビリー・スタイルが最もストレートに発揮された一曲です。
「サイコ(狂人)の続編」というタイトルが示すユーモアと自己言及性が絶妙で、コフィン・ネイルズがシーンで長年愛されてきた理由がこのトラックに凝縮されています。ライブでは観客が一斉に拳を上げる、本作屈指のアンセムです。 - Hot Rod for 2
アルバムに彩りを加える、ロカビリーへのロマンが溢れる一曲です。
「二人乗りのホットロッド」というタイトルが示す通り、50年代アメリカへの憧れとスピードへの愛情が音楽に昇華されており、アルバムの中でも特にキャッチーでポップな側面が光っています。ダークな楽曲が続くアルバムの中で、この曲が持つ開放感と多幸感は際立った存在感を放っています。
アルバム総評
本作リリース後、コフィン・ネイルズはドイツツアー、スウェーデン公演、ウェイステッド・フェスティバルやスピードフリークス・ボールを含むUK公演を精力的にこなし、シーンでの地位を確固たるものにしました。2004年にはチェリー・レッド/アナグラム・レコードから、デビューから本作までを網羅したベスト盤『レッツ・レック-ザ・グレイヴスト・ヒッツ』がリリースされるなど、その評価は年々高まっています。ダークでファストでありながらユーモアを忘れない――それがコフィン・ネイルズの哲学であり、本作はその哲学が最も純粋な形で結実した傑作です。
🎵Freaks Come Out


