Nascar Aloe/Audio Shrapnel
ロサンゼルスを拠点に活動するカンボジア系アメリカ人アーティスト、Nascar Aloeの最新アルバム『Audio Shrapnel』は、2026年6月27日にエピタフ・レコードよりリリースされました。パンク、反抗的なラップ、スピードコアの鋭いハイブリッドを体現した本作は、「ラジオ局の破壊(Radio Station Obliteration)」とナスカー自身が呼ぶ、絶望、変化、悲しみの時期から生まれた作品です。
ジェノサイド、軍産複合体、政治的な日和見主義を糾弾するナスカーの粗削りなデリバリーが、「これは真にナスカーの目を通して見た荒廃した世界の絵だ」と本人が語る通り、アルバム全体を貫いています。全22曲・30分という超高密度のパッケージで届けられる本作は、ナスカーのこれまでで最も焦点が定まり完成度の高いプロジェクトで、歌詞的にもより意欲的で透明性があり、本当の意味でパンクと呼べる内容に仕上がっています。
ジャンルと音楽性
「デス・グリップスとスーサイドをブラック・フラッグのスピードで交差させたような音楽」とブルックリン・ヴェガンが評した本作は、シンセパンクの宣言文として政治的な地獄絵図を糾弾します。「シド・ヴィシャスの精神に鼓舞され、ヒップホップの16小節とローファイ・トラップ・ビートから引き出すナスカーは、彼を地図に乗せたパンクの新波を代表する」とオルタナティブ・プレスも評しています。「fits of drunken anger(酔った怒りの発作)」から、「BABY」や「1091-D」で聴けるような冷静で洗練された部分まで、本作はナスカーの多面的な創作衝動を余すところなく体現しています。

Nascar Aloe/Audio Shrapnel
おすすめのトラック
- UNITED STATES
アルバム2曲目に収録された、アメリカという国家への怒りの告発状です。
「VENUE BATHROOM」のオープニングに続いて炸裂するこのトラックは、「アメリカン・ライズ、フェッド・トゥ・ザ・ライト」とナスカーが叫ぶシンセパンクの爆発で、アルバム全体のトーンを瞬時に確立します。 - UNCLE SAM
先行シングルとしてリリースされた、アルバムを代表する政治的アンセムです。
タイトルトラック「AUDIO SHRAPNEL」と並んで先行シングルとしてリリースされた本曲は、アメリカの政治的分断と自己中心的なリーダーたちへの糾弾を音楽に昇華させた一曲で、ナスカーの「ラジオ局の破壊」というコンセプトを最も体現しています。 - AUDIO SHRAPNEL
アルバムのタイトルトラックにして、フォーカス・トラックとしてミュージックビデオも制作された重要曲です。
今日の過度に暴力的な政治的分断と自己中心的なリーダーたちを告発し、「偉大なアメリカの荒廃」を調査するトラックで、揮発的な意図を放つ一枚の核心部として機能しています。 - 1091-D
アルバムの中でも「BABY」と並んでより冷静で洗練された側面を見せる、感情的な深みのある一曲です。
酔った怒りの発作から生まれた楽曲が多い本作において、このトラックはナスカーの内省的で脆弱な側面が最も丁寧に表現されており、シンセパンクの爆発一辺倒ではない本作の振れ幅の広さを証明しています。アルバムのハードコアな側面に疲れを感じた時、ここに戻ってくれば必ず新たな発見があります。
アルバム総評
『Audio Shrapnel』は、ナスカーのキャリアで最も焦点が定まった完成度の高いプロジェクトで、政治的なテーマをより深く踏み込んだ方法で扱っており、これまでで最もパンクと呼べる内容です。250万回以上のストリームを積み上げてきたナスカーが、「絶望、変化、悲しみの時代から生まれた、アーティストとしての彼の現在と社会の現在への証言」として届ける本作は、2026年最も必要とされている音楽のひとつです。
🎵1091-D


