King Gizzard & The Lizard Wizard/Gumboot Soup
オーストラリアのサイケデリック・ロックバンド、King Gizzard & The Lizard Wizardの13thスタジオアルバム『Gumboot Soup』は、2017年12月31日(大晦日)にフライトレスよりリリースされました。バンドが2017年に5枚のアルバムをリリースするという大胆な約束を守るべく、ギリギリのタイミングで届けられた本作は、メルボルンのフライトレスHQ、パースのラダ・スタジオ、ジョーイ・ウォーカーのベッドルーム、オークランドのウャミー・バーなど複数の場所で録音された11曲・44分08秒です。スチュ・マッケンジーがプロデュースを担当し、「Beginner’s Luck」「Greenhouse Heat Death」「The Last Oasis」「All Is Known」の4曲が先行シングルとして順次リリースされました。
ジャンルと音楽性
ファンへの約束通り5枚目のアルバムとして大晦日にリリースされた本作は、6年ちょっとで13枚目のフルアルバムという驚異的なペースで制作されながらも、B面の寄せ集めとは程遠い、完全に完成された作品となっています。サイケデリックロックとネオ・サイケデリアを基盤に、「Beginner’s Luck」のスルタリーでペッパー的なポップ、「Barefoot Desert」の子供らしい無邪気さを持つ遊び心あふれるナンセンス、「Superposition」の実験的なジャジーな煌めきまで、一枚の中で多彩なスタイルが展開されます。

King Gizzard & The Lizard Wizard/Gumboot Soup
おすすめのトラック
- Beginner’s Luck
アルバムの幕開けを飾る先行シングルで、サルトリーでペッパー的なポップとして評される一曲です。
スチュ・マッケンジーとアンブローズ・ケニー=スミスが共同作曲したこのトラックは、King Gizzardのポップなセンスが最も輝く瞬間のひとつで、2020年にマイケル・カヴァノーがこの曲のインスピレーションについて語るほど、バンド内でも特別な意味を持っています。 - Superposition
実験的なジャジーな煌めきと、壊れたアレンジが際立つ、アルバム屈指の実験的なトラックです。
ジョーイ・ウォーカーのベッドルームで録音されたという制作背景が示す通り、バンドの即興性と実験精神が最もストレートに表れており、ジャズとサイケデリアの境界線を軽やかに越えた唯一無二の一曲です。 - The Great Chain Of Being
ファイアー・ノートがキー・トラックとして選出した一曲で、バンドの哲学的な側面が音楽として結晶化した傑作です。
「存在の大いなる連鎖」というタイトルが示す宇宙的・哲学的なテーマを、サイケデリックなサウンドスケープで描いており、アルバムの中でも特に思索的な深みを持つハイライトです。 - The Last Oasis
砂漠の世界で水を求めてさまよう人物が蜃気楼を「最後のオアシス」と呼ぶという物語を描いた楽曲です。
環境問題と気候変動への警鐘を砂漠のイメージで包み込んだこのトラックは、3分39秒という短さの中にKing Gizzardのメッセージ性とサイケデリックな世界観が凝縮されており、先行シングルとしてリリースされた4曲の中でも特に普遍的なテーマを持つ一曲です。
アルバム総評
ファイアー・ノートは「オーストラリアのサイケ・ロックの英雄たちが約束を果たした」と絶賛し、2017年を通じてリリースした5枚のアルバムのどれも捨て作品がなかったと評価しています。大晦日というギリギリのタイミングで届けられながらも、「捨て曲なし」の完成度を誇る本作は、King Gizzardというバンドの底知れない才能と創造力の証明です。2017年はKing Gizzardにとってゲームチェンジャーとなった年であり、本作でその有終の美を飾りました。
🎵The Great Chain of Being


