Kasabian『Happenings』
英国ロック界の重鎮、カサビアンが2024年に放った『Happenings』は、バンドの進化と原点回帰がスリリングに交差する意欲作です。フロントマンのサージ・ピッツォーノが全編セルフプロデュースを手掛けた本作は、あえて収録時間を約26分というタイトな構成に絞り込み、一瞬の隙もない高揚感を凝縮しています。前作で新体制としての地盤を固めた彼らが、再びスタジアムを揺らす確信を持って作り上げた、現代のロック・アンセム集です。
⬇️アマゾンミュージックで『Happenings』をチェック⬇️
Amazon.co.jp: Happenings : Kasabian: デジタルミュージック
Amazon.co.jp: Happenings : Kasabian: デジタルミュージック
ジャンルと音楽性
本作のジャンルは、彼らの真骨頂であるサイケデリック・ロックとエレクトロニカ、そしてダンス・パンクが融合した「モダン・ハイブリッド・ロック」です。今作の最大の特徴は、贅肉を削ぎ落としたポップな瞬発力にあります。60年代のサイケデリアの色彩感と、21世紀のクラブ・カルチャーのビートが、タイトなグルーヴの中で見事に共存しています。短く鋭い楽曲群は、サブスクリプション時代のリスニングスタイルを意識しつつも、カサビアンらしい「野性的で衝動的」なエネルギーに満ち溢れています。
おすすめのトラック
- 「Darkest Lullaby」 アルバムの幕開けを飾る、中毒性の高いシンセ・ポップ・チューンです。どこか懐かしいディスコのニュアンスを含みながらも、サージの力強いボーカルが現代的なロックへと昇華させています。
- 「Coming Back To Me Good」 夏の日差しを感じさせるような、今作で最も爽快なトラックです。カサビアン流のサマー・アンセムであり、ソウルフルなコーラスと軽快なギターリフが、聴く者の気分を無条件に引き上げます。
- 「Algorithms」 AI時代の人間性を問うような歌詞が印象的なミドルテンポの楽曲です。これまでのアグレッシブなイメージとは一線を画す、センチメンタルで壮大なメロディラインが胸に響きます。
- 「Call」 ダンスフロアを熱狂させること間違いなしのヘヴィなビートが特徴です。インダストリアルな質感とサイケデリックな音像が混ざり合い、バンドが持つ実験的な精神が最も色濃く反映されています。
- 「How Far Will You Go」 わずか1分台という短さの中に、パンクの衝撃を詰め込んだ一曲です。爆発的なエネルギーがアルバムのテンションを最高潮へと導き、ライブでの盛り上がりを容易に想像させます。
アルバム総評
『Happenings』は、カサビアンが「無駄を省くことの美学」に到達したことを示す記念碑的なアルバムです。これまでの壮大なスケール感を維持しつつも、一つひとつの楽曲をダイヤモンドのように硬く鋭く磨き上げたことで、バンドの第2章を鮮やかに彩っています。短時間で駆け抜ける26分間は、まるで一本の映画や熱狂的なライブを体験したかのような満足感を与えてくれます。停滞するロック・シーンに再び火を灯す、強烈な一撃です。



