カナダが生んだポップ・パンクの寵児、SUM 41が2002年に発表した2ndフルアルバム『Does This Look Infected?』は、彼らが単なる「お調子者のパンクキッズ」ではないことを世界に証明した極めて重要な一枚です。前作『All Killer No Filler』で手にしたキャッチーなメロディ・センスはそのままに、よりダークで攻撃的なエッセンスを注入した本作は、当時のロックシーンに大きな衝撃を与えました。ゾンビに扮したジャケット写真のインパクトに違わず、一度聴いたら耳から離れない中毒性と、現代社会への怒りや不安を投影した歌詞の世界観が、多くのリスナーの心を掴んで離しません。
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ジャンルと音楽性
本作の音楽性は、従来の「ポップ・パンク」という枠組みを大きく踏み出し、ヘヴィメタルやハードコア・パンクの要素を大胆に取り入れた「ヘヴィ・ポップ・パンク」と呼ぶべきスタイルを確立しています。 特筆すべきは、ギタリストのデイヴ・バクシュによるメタル・ルーツを感じさせる鋭いリフとテクニカルなソロ、そしてフロントマンであるデリック・ウィブリーの吐き捨てるような力強いボーカルです。前作の明るいパーティー・チューンから一転し、社会風刺や内面的な葛藤をテーマにした楽曲が多く、サウンド全体に緊張感と重厚感が漂っています。この「ポップさと激しさの完璧な融合」こそが、後のエモやメタルコア・シーンにも多大な影響を与えた要因と言えるでしょう。
おすすめのトラック
- 「The Hell Song」 デリックの友人が直面した困難をテーマにした楽曲で、悲しみと怒りが交錯する高速メロディック・パンクです。イントロのリフが鳴った瞬間に鳥肌が立つような疾走感があり、ライブでは欠かせないアンセムとなっています。
- 「Still Waiting」 「まだ待ち続けている」というタイトル通り、繰り返される争いや憎しみへの絶望を歌った、アルバムを象徴するキラーチューン。サビの爆発力とメッセージ性の強さは、今聴いても全く色褪せることがありません。
- 「Over My Head (Better Off Dead)」 自身の内面的な混乱を叫ぶようなボーカルが印象的な一曲。ポップ・パンク特有の軽快なリズムと、重厚なギターサウンドが絶妙なバランスで共存しており、彼らのソングライティング能力の高さが伺えます。
- 「Mr. Amsterdam」 アルバムの中でも特にハードコア寄りのアプローチを見せる高速ナンバー。目まぐるしく変化するリズム展開と、ヘヴィなギターリフがリスナーを圧倒し、彼らの持つ攻撃的な側面が最も純粋な形で表現されています。
- 「Billy Spleen」 メタル的なリフが前面に押し出された、重厚感溢れるトラック。SUM 41が「アイアン・メイデン」などのメタル・レジェンドから影響を受けていることを強く実感させる、硬派なロックファンも唸らせる一曲です。
アルバム総評
『Does This Look Infected?』は、SUM 41がポップ・パンクというジャンルにおいて、独自の「激しさ」というアイデンティティを確立した金字塔的な作品です。単に激しいだけでなく、どの曲も口ずさめるほどの高いメロディ・センスを維持している点が、このアルバムを名盤たらしめている最大の理由です。 発売から20年以上が経過した今、改めて聴き返すと、当時の彼らが抱いていた焦燥感やエネルギーがダイレクトに伝わってきます。パンクファンはもちろん、メタルやハードロックを愛するすべての音楽ファンに、一度は「感染」してほしい歴史的な傑作です。



