1998年にリリースされたDropkick Murphysの記念すべきデビューアルバム『Do or Die』は、彼らが「ケルティック・パンク」というジャンルを代表するバンドへと飛躍する原点となった、初期衝動と熱気に満ちた傑作です。結成直後の荒々しいエネルギーをそのままパッケージングしたようなサウンドは、後の洗練された楽曲群とは一味違う、ストレートなパンク・ロックの魅力を全面に押し出しています。アイルランド系のルーツを持つバンドがボストンの労働者階級の視点から描く、友情、誇り、そして反骨精神が詰まったこの作品は、彼らの不屈の精神を象徴する「今こそやるか、死ぬか」というタイトル通り、バンドの未来を切り開く決意表明でもあります。全編を通して、初期メンバーによる生の爆発力がリスナーの心を強く揺さぶります。
⬇️アマゾンミュージックで『Do or Die』をチェック⬇️
ジャンルと音楽性
本作の音楽性は、従来のハードコア・パンクと、アイルランドやスコットランドの民族音楽が融合した「ケルティック・パンク」に分類されます。特に注目すべきは、彼らがこのアルバムで初めてマンドリン、バウロン(アイルランドの太鼓)、バグパイプといった民族楽器を積極的に取り入れた点です。これにより、単なる速いパンクではなく、哀愁を帯びたメロディと、大勢で肩を組んで歌えるようなシンガロング(合唱)パートが楽曲に深く根付いています。荒削りながらも、泥臭く、それでいて陽気なアイリッシュ・サウンドがパンクの激しさと見事に調和しており、聴く者をパブの喧騒やドック(波止場)の風景へと誘います。後の作品でより顕著になる「労働者賛歌」というテーマも、このアルバムで強く確立されました。
おすすめのトラック
- 「Do or Die」
アルバムのタイトルチューンであり、彼らの初期のサウンドを象徴する、アグレッシブで突進力のある楽曲です。シンプルでキャッチーなリフと、力強いボーカルが、バンドの「負けるもんか」という強い意志をストレートに伝えています。畳み掛けるようなスピード感が魅力の一曲です。 - 「Barroom Hero」
Dropkick Murphysを代表する初期のアンセムの一つで、荒々しい演奏の中にアイリッシュ・メロディが際立っています。文字通り「酒場のヒーロー」の物語を描いた、酔っぱらいの喧嘩と友情をテーマにした楽曲で、サビのシンガロングパートは熱狂的なライブ風景を容易に想像させます。 - 「Boys on the Docks」
ボストンのドックワーカー(港湾労働者)として働く、バンドのルーツと誇りを歌い上げた、非常に重要なトラックです。初期の彼らが最も大切にしていた労働者階級への敬意と連帯感が込められており、シンプルながらも胸を打つメロディと力強いコーラスが特徴的です。 - 「Never Alone」
速いテンポで疾走するパンク要素と、哀愁漂うアイリッシュ・テイストのメロディが絶妙なバランスで融合した楽曲です。タイトルの通り「決して一人ではない」というメッセージは、リスナーに強い共感を呼び、初期のライブでは特に熱狂的に迎え入れられたファンお気に入りのナンバーです。 - 「Road of the Righteous」
ケルティック要素が控えめながらも、ソリッドなパンク・ロックとして完成度の高い楽曲です。初期の彼らが持っていたストレートなエネルギーと、正義を貫く姿勢が表現されており、アルバムのパンク色を支える重要な役割を果たしています。
アルバム総評
Dropkick Murphysの『Do or Die』は、キャリアの基礎を築いた粗削りながらも非常に重要なアルバムです。初期のパンクの攻撃性を保ちつつ、後に彼らの代名詞となるケルティック音楽の要素を導入し、その後のバンドの方向性を決定づけました。後のアルバムと比較するとサウンドプロダクションはシンプルですが、その分、熱量と情熱がストレートに伝わってきます。パンク、アイリッシュ音楽、そして労働者文化が交差する彼らの原点を体験したいリスナーに、強くおすすめしたい名盤です。



