オーストラリアが誇る伝説的なロックバンド、The Easybeatsが1966年にリリースしたセカンド・アルバム『It’s 2 Easy』は、彼らが持つ非凡なメロディ・センスと、当時のブリティッシュ・インヴェイジョンにも引けを取らない躍動的なガレージ・サウンドが融合した傑作です。前作の成功を経て、よりソングライティングに磨きがかかったStevie WrightとGeorge Youngのコンビネーションが光る本作は、彼らの初期の代表曲を多数収録しており、バンドのエネルギーと自信が溢れています。このアルバムは、The Easybeatsがオーストラリアのアイドル的存在から、世界的な成功へと足を踏み出す過渡期を捉えた貴重な記録であり、60年代中期のポップ・ロックの瑞々しさを今に伝える一枚となっています。
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ジャンルと音楽性
本作の核となるジャンルは、1960年代中期のビート・ミュージック、特に「ガレージ・ロック」や「パワー・ポップ」の初期衝動を強く感じさせるものです。全体を通して、シンプルなコード構成、リヴァーブを効かせたギターサウンド、そして疾走感のあるタイトなリズムセクションが特徴的です。特筆すべきは、当時のオーストラリアのロックシーンが持つ荒削りなエネルギーと、英国風のキャッチーなメロディラインが見事にブレンドされている点です。演奏は熱狂的でありながら、楽曲は3分以内のポップフォーマットに収められており、シンガロング可能なコーラスワークが耳に残ります。後にAC/DCを結成するYoung兄弟の兄であるGeorge Youngが、既にこの時点でソングライターとしての才能を開花させていることが伺えます。
おすすめのトラック
- 「Friday On My Mind」
このアルバムのハイライトであり、後に世界的なヒットを記録し、バンドの代名詞となった名曲です。キャッチーなギターリフと、月曜日から金曜日までの労働者階級の日常を描いた歌詞が強い共感を呼びます。エネルギッシュな演奏と完璧なポップセンスが光る、時代のアンセムです。 - 「Women」
軽快なギターリフと跳ねるようなリズムが印象的なガレージ・ポップ・ナンバーです。女性に対するストレートな感情を歌い上げており、Stevie Wrightの若々しくも力強いボーカルが楽曲全体にドライブ感を与えています。ライブでの熱狂が目に浮かぶような一曲です。 - 「Tryin’ So Hard」
本作の中でも特にブルースやR&Bの影響が色濃く出た楽曲で、他のポップなナンバーとは一線を画しています。粘り気のあるリズムと、Stevie Wrightの情熱的でソウルフルなボーカルが聴き手の心を掴みます。ガレージ・ロックの枠を超えた、バンドの演奏力の高さを示す重要なトラックです。 - 「Too Much」
テンポの速い、初期衝動に満ちたガレージ・ロックの要素が強い楽曲です。粗削りな演奏と、ストレートに感情をぶつけるStevie Wrightのシャウトに近いボーカルが、バンドの持つ攻撃的な側面を強調しています。若きThe Easybeatsの「ビート」への情熱が詰まっています。
アルバム総評
『It’s 2 Easy』は、The Easybeatsがオーストラリアのロック史に名を刻む決定的な一歩となった作品です。彼らの初期のサウンドが持つ熱狂的なエネルギーと、洗練されつつあるポップ・ミュージックとしての完成度が絶妙なバランスで共存しています。特に「Friday On My Mind」という不朽の名曲を収録している点だけでも聴く価値がありますが、アルバム全体を通して聴くことで、60年代中期のロックが持っていた興奮と可能性を再認識することができます。The Easybeatsの初期衝動とポップな才能を同時に味わいたいリスナーに、自信を持ってお勧めできる一枚です。
