スウェーデンのパンクロックバンドザ・ハイヴスが1997年にリリースしたデビューアルバム『Barely Legal』は、荒々しくも洗練されたエネルギーに満ちた作品だ。パンクロックの衝動をそのまま詰め込みつつ、キャッチーなメロディと鋭いギターリフで、のちの成功への布石を築いた。The Hivesは、このアルバムを通じて自らのスタイルを確立し、やがて世界的なロックシーンで名を馳せることになる。
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ジャンルと音楽性
『Barely Legal』は、ガレージロックとパンクロックを基盤にしながら、The Hivesならではのスタイリッシュなエッジを加えたアルバムだ。RamonesやThe Stoogesの影響を受けたシンプルなコード進行と、圧倒的なスピード感が特徴で、全曲が2〜3分程度でまとまっている。Howlin’ Pelle Almqvistの攻撃的かつカリスマ性溢れるボーカルと、Nicholaus Arsonの鋭いギターリフが絶妙に絡み合い、どの楽曲も短いながら強烈なインパクトを残す。
おすすめのトラック
- 「A.K.A. I-D-I-O-T」
The Hivesの代表曲の一つで、のちにEPとしてもリリースされた。怒涛のビートと突き刺さるようなギターリフ、そしてHowlin’ Pelle Almqvistの叫びにも似たボーカルが印象的な、まさにバンドのスタイルを象徴する一曲。 - 「Here We Go Again」
ザラついたギターサウンドとキャッチーなメロディが光るナンバー。シンプルながらも中毒性のあるリフとリズムがクセになる。 - 「Well Well Well」
パンクロックの勢いとロックンロールのグルーヴが融合した楽曲。アグレッシブながらも踊れるビートが特徴で、ライブでの盛り上がりが容易に想像できる。 - 「Closed for the Season」
歯切れの良いギターリフと突き抜けるようなボーカルが特徴で、ノスタルジックなメロディの中にもパンキッシュな勢いを感じさせる。シンプルながらも圧倒的な存在感を放つ、The Hivesらしさ全開の楽曲だ。
アルバム全体の印象
『Barely Legal』は、The Hivesが持つパンクロックの荒削りな魅力を余すところなく詰め込んだ作品だ。爆発的なエネルギーとキャッチーな楽曲構成が見事に融合しており、初期パンクの影響を色濃く受けながらも、独自のスタイルを築き上げている。後にリリースされる『Veni Vidi Vicious』や『Tyrannosaurus Hives』のような洗練されたサウンドとは異なり、より生々しく直感的な演奏が楽しめるのが特徴だ。
また、当時のインディーロックシーンにおいて、スウェーデンのバンドがこれほどエネルギッシュなパンクロックを鳴らしていたことは、世界的にも大きな衝撃を与えた。本作は、The Hivesのその後のキャリアの原点であり、彼らのルーツを知るうえで欠かせないアルバムである。
結論
The Hivesの『Barely Legal』は、ガレージロックとパンクの魅力を凝縮した、勢いに満ちたデビュー作だ。荒削りながらもキャッチーで、一度聴けばその衝動に引き込まれること間違いなし。後の作品と比べるとラフな部分もあるが、その生々しさこそが本作の最大の魅力だ。ガレージロックファン、パンクロックファンはもちろん、エネルギッシュなロックを求めるすべてのリスナーにおすすめしたい一枚である。