シーナ&ザ・ロケッツ『真空パック』
1979年にリリースされたシーナ&ザ・ロケッツのセカンド・アルバム『真空パック』は、日本のロック史に燦然と輝く大名盤です。前作の荒々しいパブロック・スタイルから一転、細野晴臣氏をプロデューサーに迎え、当時最先端だったテクノポップの意匠を取り入れたことで、バンドの持つプリミティブなエネルギーが見事に「真空パック」されました。鮎川誠氏のブルージーなレスポール・サウンドと、シーナさんのキュートでパワフルなボーカルが、電子音と完璧に融合した奇跡の一枚です。
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ジャンルと音楽性
本作のジャンルは「テクノ・ニューウェイヴ」と「パブロック」のハイブリッドと言えます。YMOのメンバーが全面バックアップしたことで、極めてタイトで冷徹なシーケンサーのビートが導入されていますが、その上に乗るギターはどこまでも泥臭く人間味に溢れています。この「冷たい機械」と「熱いロックンロール」の衝突こそが、本作を唯一無二の存在にしています。
おすすめのトラック
- 「You May Dream」 バンド最大のヒット曲であり、日本のポップス史上屈指の名曲です。フィル・スペクター風のウォール・オブ・サウンドを彷彿とさせる多幸感溢れるアレンジと、シーナさんの甘い歌声が、聴く者を一瞬で夢心地へと誘います。
- 「SENTIMENTAL FOOL」 細野晴臣氏の編曲センスが光る、メロウで切ないミディアム・ナンバーです。ニューウェイヴ特有の浮遊感のあるシンセサイザーと、シーナさんの少し憂いを帯びたボーカルが重なり、アルバムの中でも独自の叙情的な空気感を放っています。
- 「MOONLIGHT DANCE」 テクノポップの軽快なビートと、鮎川さんのカッティングギターが見事に融合したダンス・チューンです。無機質なマシン・ビートの中で、シーナさんの歌声が生き生きと跳ね回る様子は、本作のコンセプトを象徴するような一曲と言えます。
- 「HEAVEN OR HELL」 疾走感あふれるビートに、ソリッドなギターリフが炸裂するアッパーな楽曲です。「天国か地獄か」というスリリングな歌詞の世界観を、タイトなリズム隊が支えており、ライブさながらの熱量を感じさせるパンキッシュな仕上がりになっています。
アルバム総評
『真空パック』は、単なる懐古的なロック・アルバムではありません。45年以上が経過した今聴いても、その音像は驚くほどにモダンで、剥き出しの生命力に満ちています。細野晴臣氏による緻密な音響工作と、鮎川誠・シーナ夫妻による「ロックへの狂信的な愛」がぶつかり合った結果、流行を超越したスタンダードが誕生しました。日本のロックを語る上で避けては通れない、文字通りの「必聴盤」です。



