ビー・バップ・デラックスの1974年のデビューアルバム『Axe Victim』は、グラムロックの煌びやかさとプログレッシブ・ロックの技巧を融合させた独創的な作品です。バンドの中心人物であるビル・ネルソン(Bill Nelson)は、ギタリスト、ソングライター、ボーカリストとして圧倒的な才能を発揮し、このアルバムを単なるグラム・ロックの一枚に終わらせず、後の作品に繋がる豊かな音楽性の土台を築きました。
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ジャンルと音楽性
『Axe Victim』は、グラムロックの華やかさを持ちながらも、プログレッシブ・ロックの複雑な構成やジャズの要素を取り入れた作品です。デヴィッド・ボウイやロキシー・ミュージックの影響を色濃く受けながらも、ネルソンの独自のギターワークと詩的な歌詞が際立ちます。アルバムの楽曲は、美しいメロディとシアトリカルな雰囲気を併せ持ち、ロックの枠を超えた芸術的な側面も感じさせます。
アルバムの特徴
このアルバムは、後のBe-Bop Deluxeの作品と比べると、よりグラムロック色が強いものの、すでにバンドの持つ独自の音楽的要素が現れています。ギターサウンドは鋭く、ドラマチックな展開が多くの曲で見られます。ネルソンのボーカルは幻想的でありながらも、時折見せる鋭さが楽曲の持つシアトリカルな雰囲気を高めています。
おすすめのトラック
- 「Axe Victim」
アルバムのオープニングを飾るタイトル曲で、長尺のドラマティックな構成とメロディックなギターが印象的。ネルソンの詩的な歌詞が、退廃的な美しさを描き出します。 - 「Love Is Swift Arrows」
疾走感のある楽曲で、ネルソンのギターが存分に発揮されている一曲。ポップな要素も感じられ、アルバムの中でも聴きやすい楽曲の一つ。 - 「Jet Silver And The Dolls Of Venus」
グラムロックの影響が特に強い楽曲で、ロキシー・ミュージックやT.レックスを彷彿とさせる煌びやかなサウンドが特徴。 - 「Adventures In A Yorkshire Landscape」
プログレッシブな構成と、幻想的な歌詞が際立つ楽曲。ネルソンのギターワークが光り、アルバムの中でも特に芸術的な仕上がりになっています。
総評
『Axe Victim』は、Be-Bop Deluxeのキャリアの中で異色の作品であり、バンドのその後の方向性とはやや異なるアプローチを取っています。しかし、グラムロックの華やかさとプログレ的な実験精神が共存するユニークな一枚であり、ネルソンのギターとソングライティングの才能がすでに開花していることが分かります。ロックの進化の過程を探求するリスナーにとって、聴く価値のあるアルバムと言えるでしょう。