Squalls/Squalls
1984年9月、スコールズはジム・ホーキンスのエレクトロ・アコースティック・システムズ・スタジオで6曲入りEPを録音し、ボブ・ヘイ自身のムブレラ・レコードから1984年11月29日にリリースしました。最初のプレス1000枚が瞬く間に売り切れ、セカンドプレスが行われたほどの好評を得たこの作品は、1985年を最後に長らく廃盤状態が続いていました。2022年にプロペラー・サウンド・レコーディングスより未発表デモとシングルを追加したリマスター拡張版として復刻され、ようやく多くのリスナーの耳に届くこととなりました。
ジャンルと音楽性
80年代のアセンズ、ジョージア州の豊かな音楽シーンから生まれた、比較的知名度の低いギター・ポップ・バンドのひとつですが、その音楽の質は決して知名度に見合わないものではありません。R.E.M.やB-52’sと同じ土壌から育ちながら、スコールズ独自のカラフルでキャッチーなポスト・パンク/ニュー・ウェーブ・サウンドを確立しています。ボブ・ヘイのソングライティングとダイアナ・トーレルのキーボードとボーカルが生み出すハーモニーは、このバンドにしかない特別な温かみと輝きを放っています。

Squalls/Squalls
おすすめのトラック
- 「Elephant Radio」 アルバムの幕開けを飾り、バンドの代名詞ともなった一曲です。 1986年のドキュメンタリー映画「アセンズ、ジョージア州:インサイド/アウト」でフィーチャーされた2曲のうちの1曲で、映画を通じてバンドの名を広く知らしめることになりました。キャッチーなギターリフと躍動するリズムが絡み合う、インディ・ポップの教科書のような完成度を誇っています。
- 「Na Nanana」 「アセンズ、ジョージア州:インサイド/アウト」でもフィーチャーされたもう1曲で、バンド最大の人気曲のひとつです。 ボブ・ヘイとダイアナ・トーレルによる「別世界のような」ハーモニーボーカルが際立つこのトラックは、タイトルのフレーズが繰り返されるコーラスとともに、聴けばすぐに頭から離れなくなる中毒性を持っています。出だしから最後まで笑顔にさせてくれる、このアルバムの核心です。
- 「Information」 ニュー・ウェーブの鋭角なエネルギーとポップの親しみやすさが理想的なバランスで共存する一曲です。 リマスター拡張版のデジタルシングルとしても先行リリースされたことからも、バンド自身がこの曲に特別な思い入れを持っていることが伝わります。ヴァンネッサ・ブリスコー・ヘイが制作したリリック・ビデオとともに改めて光が当たった、再評価著しい一曲です。
- 「Kalinka」 ロシア民謡「カリンカ」をモチーフにしたユニークなトラックです。 バンドの公式サイトでもリリック・ビデオが公開されるなど、リマスター版リリースに際して特に注目を集めた一曲です。民謡のメロディをニュー・ウェーブのフィルターで再解釈するという大胆なアイデアが、このバンドの音楽的な幅と遊び心を如実に示しています。
アルバム総評
アセンズのインディロック・シーンを代表するオリジナルバンドのひとつとして、スコールズは1981年から1989年にかけてアセンズ、南部、中西部、東海岸の各都市、そしてニューヨークのCBGB、ダンセテリア、ペパーミント・ラウンジでライブを行い続けました。R.E.M.やB-52’sの陰に隠れながらも、「ジョージアから移住する前にこのバンドを発見できなかったことが悔やまれる。スコールズは隠れた宝だ」というファンの声が示す通り、その音楽の価値はまったく色褪せていません。廃盤から40年近く、ようやく手に届く形で蘇った本作は、80年代アメリカン・インディロックを愛するすべての人に届けたい傑作です。
🎵Na Nanana


