The Smiths『Louder Than Bombs』
1987年、ザ・スミスの解散直前にアメリカ市場向けに編集されたコンピレーション・アルバム、それが『Louder Than Bombs』です。シングルA面曲、B面曲、ラジオ・セッション音源など全24曲を収録した本作は、単なる「寄せ集め」の域を完全に超えています。オリジナル・アルバムに収録されなかった名曲たちが一堂に会したことで、当時のインディー・ロック・シーンにおける彼らの圧倒的な創造性と、バンドとしての完成度の高さが改めて浮き彫りになりました。
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ジャンルと音楽性
本作のジャンルは、80年代英国インディー・ロックの最高峰である「Jangle Pop(ジャングル・ポップ)」や「Post-Punk」を基盤としています。音楽性の核となるのは、ジョニー・マーによる多層的で美しいギター・アンサンブルです。エフェクターに頼りすぎず、クリーントーンのアルペジオを重ねる独自のスタイルは、後のギター・ロックの教科書となりました。そこに、モリッシーの独特なファルセットと、自己嫌悪や皮肉、孤独を優雅に表現する歌詞が乗り、唯一無二の「スミス・サウンド」を構築しています。
おすすめのトラック
- 「Ask」 ジョニー・マーの軽快なギターと、モリッシーの「内気さは人を殺す」という内省的ながらも前向きなメッセージが光る名曲です。聴き心地の良さとは裏腹に、鋭い人間観察が込められたスミスらしいポップ・ナンバーです。
- 「Panic」 「DJを吊るせ」というあまりにも有名なフレーズで物議を醸した、バンドの反骨精神を象徴する一曲。T. Rexを彷彿とさせるグラム・ロック的なリズムに乗せて、既存の音楽業界への違和感を鮮やかに撃ち抜いています。
- 「Please, Please, Please, Let Me Get What I Want」 わずか2分弱という短さの中に、人生の切実な祈りと哀愁が凝縮されています。繊細なマンドリンの音色とモリッシーの震えるような歌声は、聴く者の心を締め付け、深い共感を呼び起こします。
- 「Sweet and Tender Hooligan」 スミスの楽曲の中でも最もパンキッシュで攻撃的な一曲です。性急なビートと荒々しいギターに乗せて、犯罪を犯した若者を皮肉たっぷりに擁護するような歌詞が炸裂します。彼らの持つ「毒」とエナジーが凝縮されたライブ感あふれるナンバーです。
アルバム総評
『Louder Than Bombs』は、ザ・スミスという稀有なバンドがいかに多産で、かつ全ての楽曲において高いクオリティを維持していたかを証明する一冊の「短編集」のようなアルバムです。B面曲ですら他のバンドの代表曲を凌駕する輝きを放っており、初心者の入門編としても、熱狂的なファンの愛聴盤としても完璧な役割を果たしています。孤独、疎外感、そして皮肉。それらを音楽という芸術へ昇華させた彼らの美学が、この24曲の中に永遠に封じ込められています。



