Modjo/Modjo
2000年代初頭、ダフト・パンク(Daft Punk)やカシアス(Cassius)らと共に、フィルター・ハウス/フレンチ・タッチと呼ばれるムーブメントを世界規模で爆発させたフランスのエレクトロニック・デュオ、モジョ(Modjo)。 プロデューサーのロマン・トランシャールと、ソウルフルな美声を持つヴォーカリストのヤン・デスタニョール(ヤン・デスタル)の2人が2001年にリリースした唯一のフルアルバム『Modjo』は、当時のクラブ・アンセム「Lady (Hear Me Tonight)」を筆頭に、ダンス・ミュージックの枠を遥かに超えた高い音楽性とポップ・センスが凝縮された不朽の名盤です。今聴いても全く古びない、エレガントで甘美なフレンチ・ハウスの魅力を余すところなくお届けします。
ジャンルと音楽性
本作の音楽ジャンルは、「フレンチ・ハウス(French House)」「ヌー・ディスコ(Nu-Disco)」、そしてエフェクトを巧みに駆使した「フィルター・ハウス(Filter House)」に位置づけられます。 最大の特徴は、70〜80年代のファンクやディスコの名曲から美味しいギターリフやベースラインをサンプリングし、そこにフィルター(音をこもらせたり、一気に開放したりする音響効果)をかけながら、ヤン・デスタルの優美で哀愁漂う生のヴォーカルを贅沢に乗せるスタイルです。 電子音楽の持つスマートな躍動感と、生演奏のアコースティック・ギターやストリングスが織りなすオーガニックな温かみが奇跡的なバランスで融合しており、フロアを揺らすダンス・アルバムでありながら、極上のポップ・ソング集としても完璧な完成度を誇っています。

Modjo/Modjo
おすすめのトラック
- 「Lady (Hear Me Tonight)」世界中のクラブやFMラジオを席巻し、全英シングルチャート1位をはじめ各国のチャートの頂点に立った、フレンチ・ハウス史上最も愛されている不滅のアンセムです。シック(Chic)の「Soup for One」からサンプリングされた、あのあまりにも有名なギターリフが鳴り響き、甘く切ないヴォーカルが重なった瞬間、目の前にどこまでもロマンチックな夜の街並みが広がります。一度聴けば心がステップを踏み出す、ポップ・ミュージックの奇跡とも言えるマスターピースです。
- 「Chillin’」「Lady」に続いてシングル・カットされた、非常にグルーヴィーでファンキーなミドルテンポ・ナンバーです。同じくシック(Chic)の「Le Freak」をモチーフにした、粘り気のある極上ファンクのベースラインとカッティングギターがとにかく心地よく、タイトル通り「リラックスしてまったり(Chillin’)楽しむ」のに最適な1曲。ヤンのエモーショナルなソウル・ヴォーカルが、洗練されたサウンドスケープをより一層引き立てています。
- 「What I Mean」哀愁漂うアコースティック・ギターの旋律と、温かみのあるハウス・ビートが優しく溶け合う、メロディアスな名曲です。ダンス・トラックでありながら、どこかフォークやAORのようなセンチメンタルな旅情を感じさせる仕上がりになっています。深夜のドライブや、一晩中踊り明かした後の静かな夜明けにヘッドホンでじっくりと聴き浸りたくなる、彼らの奥深いソングライティング能力を証明する1曲です。
- 「No More Tears」アルバムの後半を彩る、ディープでドラマチックなディスコ・ポップ・チューンです。きらびやかなシンセサイザーのレイヤーと、切なさを湛えたサビのメロディラインが心地よい緊張感を演出します。クラブの華やかさと、個人の内省的なエモーションが同居するこのトラックは、彼らが単なる一発屋のダンスユニットではなく、本物のアーティストであったことを深く実感させてくれます。
アルバム総評
『Modjo』は、1990年代後半から2000年代初頭にかけての「フレンチ・タッチ」と呼ばれた幸福な音楽的ムーブメントの、最もスウィートで洗練された瞬間を完璧に真空パックした奇跡のアルバムです。 デュオとしてはこの1枚きりで活動を休止してしまったため、まさに「最初にして最後の眩い輝き」を放つ唯一無二のカルト的名盤となっています。
フィルター・ハウスの熱狂を知る世代にはたまらないノスタルジーを、そしてシティ・ポップや現代のダンス・ポップ、DJカルチャーを愛する若い世代には新鮮な感動を与えてくれるはずです。お洒落で、甘く、どこか切ない。そんな極上のフランス産ディスコ・ハウス・ワールドを、ぜひお手元で堪能してみてください。
🎵Lady (Hear Me Tonight)


