ドラムンベースが地下から世界に広がる、その臨界点を切り取った名盤がここにある──Origin Unknownの『The Speed of Sound』。レイヴの熱狂とストリートの荒々しさを同時に閉じ込めたこのアルバムは、90年代半ば、UKジャングル/ドラムンベースシーンの進化と狂騒を象徴する決定的な一枚だ。
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ジャンルと音楽性
『The Speed of Sound』は、ドラムンベース/ジャングルをベースに構成された作品だが、単なるハードヒットなトラックの連打ではない。Origin Unknown(アンディ・Cとアンディ・スミスによるプロジェクト)は、重厚なベースラインと繊細なビートプログラミングを武器に、深く、重く、なおかつ流麗なサウンドスケープを構築している。
アグレッシブなブレイクビーツ、サブベースの震動、時折差し込む幻想的なパッドサウンド。荒々しいだけではない、知的な構成力が光る。クラブアンセムからヘッドフォンリスニング向きのディープトラックまで、幅広く網羅されているのがこの作品の真骨頂だ。
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おすすめのトラック
- 「Valley of the Shadows」
もはや伝説。「31秒後にアナザー・ディメンションへ──」というサンプリングで幕を開けるこのトラックは、ドラムンベースの金字塔。ミニマルな構成なのに圧倒的な没入感を生み出す、異次元の名曲だ。 - 「Truly One」
ドラムンベース・ファンにはお馴染みのクラシック。跳ねるようなドラムと、うねるベースラインのグルーヴが絶品。タイトル通り、唯一無二の存在感を放つトラックで、現在でもリミックスやリエディットが絶えない。 - 「Lunar Bass」
ダークで深い宇宙空間を思わせるサウンドスケープと、重厚なリズムのコントラストが際立つ一曲。シンプルながらも圧倒的なグルーヴが、当時のジャングル・シーンの進化を象徴している。フロアを沈め、跳ねさせる、まさにベースヘッズ必聴の名作だ。
アルバム総評
『The Speed of Sound』は、単なるクラブ・ヒット集ではない。Origin Unknownが描き出したのは、ドラムンベースというジャンルが持つあらゆる表情──獰猛さ、陶酔感、知的な構築美──を、ひとつの物語として紡ぐ試みだった。
当時、ジャンルが爆発的に拡大する中で、ここまで音楽的完成度と革新性を両立させた作品は稀有であり、今なおドラムンベースの「教科書」として語り継がれている。リスナーを別次元へ加速させる一枚。