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A Certain Ratio(ア・サートゥン・レシオ)『Sextet』―ファクトリー・レコードが生んだ最も「踊れる」傑作にして、「ファクトリーのスタブルから生まれた最高のアルバム」と今なお称賛され続ける、1982年最大の隠れた傑作がここにあります

Rock Rock/Alternative
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A Certain Ratio/Sextet

イングランドのポストパンクバンド、A Certain Ratioの3rdスタジオアルバム『Sextet』は、1982年1月にファクトリー・レコードよりリリースされました。チードル・ハルムのレヴォリューション・スタジオで録音された本作は、バンドが新しいサウンドを求めたことにより、それまでの2作を手がけてきたマーティン・ハネットをプロデューサーから外し、バンド自身のセルフ・プロデュースで完成させた初めての作品です。UK・インディペンデント・アルバム・チャートで11週間ランクインし、最高1位を記録した本作は、ピッチフォークで8.1点、スタイラス・マガジンでエー・マイナス、アンカットで5点満点中4点という高評価を獲得しています。

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ジャンルと音楽性

ブリット・ファンクとジャズ・フュージョンがLevel 42Central Lineといったバンドを通じてメインストリームで注目を集めていた1982年という時代に、A Certain Ratioはポストパンクの暗さとファンクの躍動感を独自のフィルターで融合させ、誰も聴いたことのないサウンドを作り上げました。二人のベーシストを擁するという驚異的な編成を持つバンドが、メンバー全員が複数の楽器を演奏できるという圧倒的な技量を武器に、ホットでトロピカルな夜のような音像を生み出しています。アルバムのタイトル「セクステット(六重奏)」が示す通り、6人の個性が有機的に絡み合うアンサンブルの妙こそが本作最大の武器です。

A Certain Ratio/Sextet

おすすめのトラック

  • Knife Slits Water
    アルバムのシングルとしてもリリースされた、7分50秒の大作にして本作最大のハイライトです。
    7分50秒というアルバム最長のトラックで、ファンクのグルーヴが催眠的に繰り返されながら徐々に高まっていく構成は、ダンスフロアとリスニングルームの両方で圧倒的な存在感を放っています。マーサ・ティルソンの幽霊のようなボーカルがトラックに独特の妖艶さを加えており、「水を切り裂くナイフ」というタイトルの鋭さそのままの一曲です。
  • Lucinda
    3分56秒のファンキーでグルーヴィーな一曲で、アルバムの中でも最もポップで親しみやすいトラックのひとつです。
    マーサ・ティルソンの女性ボーカルとバンドのタイトなリズムセクションが絶妙に絡み合い、ポストパンクの緊張感とファンクの解放感が同居する、A Certain Ratioの真骨頂が凝縮されています。ライブでも長年愛されてきた、バンドの代名詞的な一曲です。
  • Rialto
    アルバムのB面を締めくくる、3分48秒のムーディーなクロージング・トラックです。
    ヴェネチアのリアルト橋を想起させるタイトルが示す通り、ヨーロッパ的な退廃と美しさが同居するこのトラックは、アルバム全編を通じた旅の締めくくりとして完璧な余韻を残します。「ホットでトロピカルな夜」という言葉で表現されるアルバムの雰囲気が最も凝縮された一曲です。
  • Skipscada
    アルバムの幕開けを飾る、2分12秒の短くも強烈なオープナーです。
    ファクトリー・レコードのスタイルらしい「密で暗い」雰囲気を持ちながら、バンドのエネルギーが一気に解放される疾走感が際立っています。マーティン・ハネットから離れたことで生まれた新たな生々しさが最初の一音から伝わり、このアルバムが何を目指しているかを瞬時に宣言するに足る強烈な入口となっています。

アルバム総評

「ファクトリーのスタブルから生まれた最高のアルバムのひとつ」「史上最も過小評価されたエルピーのひとつ」と多くのリスナーから称賛され、後のセイバーズ・オブ・パラダイスにも多大な影響を与えたこのアルバムは、40年以上が経過した今もその輝きを少しも失っていません。New Orderが『Movement』でメディアから批判を受け、Cocteau TwinsR.E.M.birthday partyといった名作が次々と生まれた1982年という豊穣な年に、A Certain Ratioは最も踊れるファクトリー・アルバムを生み出しました。ポストパンクとダンス・ミュージックの間に橋を架けたこの傑作を、今すぐプレイヤーに乗せてください。

🎵Lucinda

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