The Rolling Stonesの『December’s Children (And Everybody’s)』は、1965年にリリースされた、バンドの初期衝動とブルースへの愛情が色濃く刻まれたアルバムです。全体を通して、R&Bカバーとオリジナル曲が混在し、当時のライブの熱気や若々しい勢いがそのまま封じ込められています。アメリカ市場向けに編成された本作は、シングルヒットを含みつつも、アルバム全体でThe Stonesがロックンロールの荒々しさとソウルフルな表現力を兼ね備えた存在であることを証明しています。
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ジャンルと音楽性
本作はブルース・ロック、R&B、ロックンロールを軸にしたサウンドで構成され、泥臭さとポップさが同居しています。初期ストーンズらしい荒削りな演奏と、ミック・ジャガーの情熱的かつ少し挑発的なボーカルが全編を支配。キース・リチャーズのギターリフは切れ味鋭く、チャーリー・ワッツのドラムはタイトで、ビル・ワイマンのベースが楽曲に重量感を与えています。カバー曲では彼らのルーツを感じさせる黒人音楽のエッセンスが前面に出ており、オリジナル曲ではすでに独自のロックンロールスタイルが芽吹き始めています。
おすすめのトラック
- 「Get Off of My Cloud」
全米・全英No.1を記録した代表曲。反抗心をむき出しにした歌詞と、突き抜けるようなリズム感が特徴。バンドの勢いと時代の空気をそのままパッケージしたような一曲です。 - 「As Tears Go By」
ストーンズ初期のバラードの名作。弦楽器のアレンジとミックの柔らかい歌声が、ロックンロール一辺倒だった彼らの多面性を示します。後のキャリアにも繋がるメロディアスな側面を開花させた楽曲。 - 「She Said Yeah」
オープニングを飾る疾走感あふれるナンバー。わずか2分弱で駆け抜けるパンク的な短さとエネルギーが魅力で、ライブ感たっぷりの演奏が耳をつかみます。 - 「I’m Free」
自由を謳歌する歌詞と、軽快で開放感のあるメロディが印象的。後に多くのアーティストにカバーされるほどのポップさと普遍性を備えた一曲です。 - 「Route 66」
アメリカの大地を感じさせるクラシックなロックンロールカバー。ブルースハープと軽快なギターが心地よく、彼らのルーツミュージックへの愛情が伝わります。
アルバム総評
『December’s Children (And Everybody’s)』は、The Rolling Stonesがロックンロール界の最前線に躍り出た瞬間を切り取った記録です。シングルの強さとライブ感のあるカバーが絶妙に共存し、彼らの多彩な音楽性とエネルギッシュな姿勢が存分に堪能できます。ブルースやR&Bの影響を基盤にしながら、ポップヒットも生み出す柔軟性を備えており、この時期のストーンズの勢いを知るには最適な作品です。初期の荒削りな魅力と、後の大物感の萌芽が同時に感じられる、歴史的にも価値の高いアルバムと言えるでしょう。