イギリス出身のオルタナティブ・ダンスロックバンド、Jesus Jones が1991年にリリースしたセカンドアルバム『Doubt』は、90年代初頭の音楽シーンにおいてポップとロック、そしてダンスビートを絶妙に融合させた象徴的作品です。マンチェスター・ムーブメントやマッドチェスターと呼ばれるシーンが盛り上がる中、このアルバムはバンドの代表曲を多数収録し、国際的な成功を収めるきっかけとなりました。その軽快かつ鋭いサウンドは、当時のクラブカルチャーとロックバンドのエネルギーを同時に感じさせ、今聴いてもフレッシュな魅力を放っています。
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ジャンルと音楽性
『Doubt』の最大の特徴は、ギターリフとシンセサウンドをシームレスに絡ませ、エレクトロとロックの中間を行くハイブリッドな音楽性です。ハウスやテクノの要素をロックの骨格に組み込み、ダンサブルかつキャッチーな曲構成を実現しています。ボーカルのマイク・エドワーズの飾らない歌声と、躍動感あるリズムセクションが織りなす音は、単なるダンスロックに留まらず、オルタナティブ・ポップとしても高い完成度を誇ります。90年代初期のデジタルサウンドをいち早く取り入れた姿勢は、今振り返っても革新的です。
おすすめのトラック
- 「Right Here, Right Now」
アルバムの代名詞ともいえる代表曲で、明るく前向きなメロディと印象的なサビが特徴。冷戦後の世界情勢と個人的な希望を重ね合わせた歌詞は、時代背景とリンクしつつも普遍的なメッセージを放ちます。 - 「Real, Real, Real」
キャッチーなリフと弾むようなリズムがクセになるナンバー。シンプルながら力強い構成で、ライブでも盛り上がること間違いなしの一曲です。 - 「International Bright Young Thing」
ファンキーなギターと軽快なビートが融合した、陽気でエネルギッシュな楽曲。グローバルな視点を持つ歌詞も印象的で、当時のバンドのワールドワイドな視野を反映しています。 - 「Who? Where? Why?」
少しダークでミステリアスなムードを持つ曲。スピード感のある展開と緊張感漂うサウンドが、アルバムの中で良いアクセントとなっています。 - 「Trust Me」
ダンサブルなビートとエッジの効いたギターが融合したエネルギッシュなトラック。軽快なリズムに乗せて、挑発的かつ自信に満ちたボーカルが響き、90年代初期のクラブロック感をそのままパッケージしたような一曲です。
アルバム総評
『Doubt』は、90年代初頭のダンスロック/オルタナティブシーンを語る上で欠かせない一枚です。全体を通してポップでありながらも、実験精神とジャンル融合への意欲が感じられ、時代を超えて聴ける完成度を持っています。特に代表曲「Right Here, Right Now」のヒットによって、Jesus Jonesは一躍世界的なバンドへと成長しました。デジタルとアナログの境界を軽やかに飛び越えたこの作品は、90年代カルチャーの空気感をそのままパッケージしたような魅力に溢れています。今もなお、新鮮な高揚感を与えてくれるアルバムです。