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欲望と冷たいエレガンスが交錯する80年代シンセポップの金字塔、ベルリンの『Pleasure Victim』!シンセサイザーの氷のような響きの中に、情熱的なテリ・ナンのボーカルが響き渡るニュー・ウェイヴ・クラシック

Pop Pop/Soul/Jazz
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アメリカのバンド、Berlin(ベルリン)が1982年にリリースしたEPであり、後にフルアルバムとして再発された『Pleasure Victim(邦題:そのとき、私は…)』は、80年代初頭のニュー・ウェイヴおよびシンセポップシーンにおける最重要作品の一つです。テリ・ナンが歌い上げる退廃的かつストレートな性的なテーマや、ジェンダーの役割に対する挑戦的な姿勢は、当時の社会に衝撃を与えました。硬質なシンセサイザーのリディムと、官能的なボーカルが融合したサウンドは、音楽性と商業性の両面で成功を収め、バンドを一躍スターダムに押し上げました。本作は、冷たいテクノロジーと熱い人間性がぶつかり合う、時代を映し出す傑作です。

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ジャンルと音楽性

本作は明確にエレクトロニック・ニュー・ウェイヴ、特にシンセポップ(Synth-pop)に分類されます。

  • 冷徹なシンセサウンド: 主にシンセサイザー、ドラムマシン、エレクトロニックなパーカッションが楽曲を構築しており、冷たく都会的な雰囲気を作り出しています。ミニマルながらもグルーヴ感のあるサウンドデザインが特徴です。
  • 官能的なボーカル: テリ・ナンによる艶かしく、感情を剥き出しにしたボーカルが、無機質なエレクトロニックサウンドに人間的な熱を注入しています。彼女の表現力豊かな歌唱法こそが、Berlinの最大の魅力です。
  • 挑発的なテーマ: 歌詞は、恋愛、欲望、そしてジェンダーといったプライベートなテーマを大胆に扱い、特に当時の保守的な価値観に対して、カウンターとなるような挑発的なメッセージを含んでいます。

おすすめのトラック

  • 「The Metro」
    本作を代表する、そしてBerlinのキャリア全体を通じても最も有名なキラーチューン。シンセサイザーの繰り返しが印象的なリフと、テリ・ナンのドラマチックなボーカルが特徴です。地下鉄(メトロ)での別れを歌った歌詞は、都会的な孤独と感傷を描き出しています。シンプルながらも完成度の高いメロディは、80年代シンセポップのお手本です。
  • 「Sex (I’m A…)」
    物議を醸した挑発的な歌詞で知られる楽曲。タイトでダンサブルなリディムに乗せて、自己の性的アイデンティティについて問いかける内容を、テリ・ナンが赤裸々に歌い上げます。この大胆さが、当時のニュー・ウェイヴの自由な空気を体現していました。
  • 「Pleasure Victim」
    アルバムタイトル曲。冷たく、ややダークなムードを持つトラックで、エレクトロニックな要素が強く押し出されています。快楽と犠牲という背反するテーマを扱い、内面的な葛藤を表現した、メロディのフックも強い一曲です。
  • 「Masquerade」
    アップテンポでエネルギッシュなダンスナンバー。仮面舞踏会(マスカレード)というテーマを通じて、人前で見せる顔と裏の顔、あるいは抑圧された欲望について歌っています。初期のBerlinが持つ、ロックとダンスミュージックの融合を試みたサウンドが楽しめます。

アルバム総評

『Pleasure Victim』は、単なる80年代の懐メロとして片付けられない、普遍的なテーマと先鋭的なサウンドを持ったアルバムです。テリ・ナンのカリスマ的な存在感と、John Crawfordが中心となって作り出す緻密なエレクトロニック・サウンドプロダクションが、この作品をエポックメイキングなものにしました。冷たさの中に潜む情熱、都会の孤独、そして性の解放といったテーマは、今聴いても新鮮な響きを持っています。80年代ニュー・ウェイヴやシンセポップの深淵に触れたいリスナーにとって、必聴の傑作です。

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