2023年にリリースされたJAWNYのデビュー・アルバム『It’s Never Fair, Always True』は、インディー・ポップの新鋭として注目を集めてきた彼の集大成となる作品です。TikTokで大ヒットした「Honeypie」のような軽快なポップセンスを基盤としつつも、本作ではより深く、個人的な感情や人生の不確かさ(Never Fair)と真実(Always True)に踏み込んでいます。遊び心のあるメロディと、ローファイでオルタナティブなギターサウンドが融合した彼の独自の世界観が、全編を通じて鮮やかに展開されています。
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ジャンルと音楽性
JAWNYの音楽性は、主にインディー・ポップまたはオルタナティブ・ポップに分類されますが、そのサウンドには多様な要素が混在しています。特徴的なのは、どこか懐かしい90年代後半のギターロックを思わせるザラついた質感と、現代的なキャッチーなメロディラインの組み合わせです。彼はシンプルなコード進行を多用しつつ、ローファイなプロダクションと巧みなレイヤーで楽曲に奥行きを与えます。特に、率直で、時には自虐的ながらも感情豊かな歌詞が、彼の飾らないボーカルを通じてリスナーに強く共感を呼び起こします。軽快さと内省的なテーマが見事に両立した、モダンなベッドルーム・ポップの進化形と言えるでしょう。
おすすめのトラック
このアルバムの多様な魅力を伝える、おすすめの4曲をご紹介します。
・「adios」 ギターリフが印象的な、疾走感あふれるロックナンバーです。別れ(adios)をテーマにしながらも、湿っぽくならず前向きなエネルギーに満ちています。キャッチーなサビと、パンク的なエッジが効いた演奏が、爽快感を与えてくれる楽曲です。
・「lalala」 シンプルながらも中毒性の高いリズムとメロディで構成された楽曲です。ミニマルな楽器編成が、彼の気だるくもチャーミングな歌声を際立たせています。特に、繰り返される「lalala」のフレーズは、リスナーの頭の中に残り続ける、リラックスした雰囲気が魅力です。
・「Strawberry Cheesecake」 タイトル通りの甘く、しかしどこかノスタルジックな雰囲気を漂わせるミディアムテンポの楽曲です。柔らかなボーカルと揺らぐようなギターサウンドが、聴く者を穏やかな郷愁の世界へ誘います。感情の機微を丁寧に描いた歌詞にも注目したい一曲です。
・「take it back」 エモーショナルなボーカルと、スケール感のあるサウンドスケープが特徴的な楽曲です。過去への後悔や、何かを取り戻したいという強い決意といった内省的なテーマを扱っています。楽曲のダイナミクスが大きく、聴きごたえのある仕上がりになっています。
アルバム総評
『It’s Never Fair, Always True』は、JAWNYがただのTikTokでバズったアーティストではない、確かなソングライティング能力を持つミュージシャンであることを証明した傑作です。彼は、ポップスの気軽さとオルタナティブの誠実さという、一見矛盾する二つの要素を完璧に融合させています。青春の不安や愛情を、等身大の言葉とメロディで描き切ったこのアルバムは、新しい時代のインディー・ポップの代表作として、多くのリスナーの共感を呼ぶはずです。


