Supergrassのデビューアルバム『I Should Coco』（1995年）は、ブリットポップ全盛期の熱気と若さをそのままパッケージした、疾走感あふれる作品です。平均年齢20歳という若さで放たれたこのアルバムは、エネルギッシュな演奏とキャッチーなメロディ、そしてちょっとしたユーモアが詰め込まれた、まさに青春の爆発のような一枚。ブリットポップの中でも、よりパンクやガレージの衝動を色濃く反映し、聴く者の心を一瞬で高揚させます。
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ジャンルと音楽性
『I Should Coco』はブリットポップを基盤としつつ、パンクロックやガレージロック、そして60年代ポップの要素を巧みに融合させたアルバムです。OasisやBlurといった同時代のバンドと比べても、Supergrassはより無邪気でスピード感のあるサウンドを志向しており、その結果として極めて勢いのある仕上がりになっています。楽曲構成も短く、無駄を削ぎ落としたストレートな展開が多く、ガッツと遊び心が同居した音楽性が光ります。
おすすめのトラック
- 「Alright」
このアルバム最大のヒット曲で、まさに青春賛歌ともいえる一曲。軽快なピアノとギターリフ、そしてポジティブな歌詞が一体となり、聴くたびに笑顔になること間違いなし。CMや映画でも多く使われ、Supergrassの代名詞的存在です。 - 「Caught by the Fuzz」
バンドのデビューシングルで、実体験に基づいた警察との一件を描く疾走パンクチューン。わずか2分強の短さながら、強烈な勢いとユーモアを放ちます。オープニングから一気に引き込まれるインパクト抜群の一曲です。 - 「Mansize Rooster」
タイトでパンチの効いたギターリフと、遊び心満載のメロディが特徴。Supergrassらしいウィットと軽快さを存分に味わえるナンバーです。 - 「Lose It」
シンプルながらキャッチーなギターサウンドと、感情をストレートにぶつけるボーカルが光る楽曲。疾走感と切なさが同居するバランス感覚が魅力です。 - 「Time」
アルバム中盤に置かれた、少し落ち着いたテンポの楽曲。メロディの美しさと、バンドの幅広い表現力を感じさせます。
アルバム総評
『I Should Coco』は、90年代ブリットポップの勢いを象徴する一枚でありながら、Supergrassならではの遊び心と疾走感が溢れています。シリアスさよりも楽しさを優先し、聴く者を一瞬でその世界に引き込むパワーを持っています。全体を通してわずか40分足らずの長さながら、アルバムを聴き終えると心地よい疲労感と多幸感に包まれ、再び最初から聴き直したくなる中毒性があります。若さと勢い、その瞬間の輝きを封じ込めた『I Should Coco』は、今もなお新鮮な魅力を放ち続ける傑作です。
