The Lumineersの最新アルバム『Automatic』は、彼らの代名詞ともいえるフォークロックの温かみと、シネマティックな物語性をさらに進化させた一枚です。アコースティックギター、ピアノ、ストリングスが織りなす豊かなサウンドに、ウェスリー・シュルツの哀愁漂うボーカルが乗り、聴く者をまるでロードムービーの主人公のような心境へと誘います。過去作よりも洗練されながら、感情の奥深くまで響く楽曲群が並び、聴くほどに味わいが増す作品となっています。
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ジャンルと音楽性
本作の軸はフォークロックとアメリカーナですが、そこにポストロックやシネマスコア的な広がりを感じさせるアレンジが加わっています。ミニマルで静謐なパートから、壮大なサビへと駆け上がるダイナミクスの構築は、The Lumineersの真骨頂。楽器同士の間(ま)を大切にした音作りによって、リスナーは自然と歌詞やメロディのニュアンスに耳を傾けることになります。また、プロダクション面では空間の広がりを重視しており、イヤホンで聴くと細やかな音の粒立ちまで楽しめます。
おすすめのトラック
- 「Automatic」
アルバムのタイトルトラックであり、テーマ性を象徴する一曲。優しいピアノイントロから始まり、静かな語り口が次第に力強さを増していく展開が心を打ちます。人生の流れや選択の意味を問いかける歌詞が、深く胸に響きます。 - 「Same Old Song」
温もりのあるフォークサウンドと、切なさを帯びたメロディが心に沁みる楽曲。シンプルなアコースティックの響きに乗せて、過ぎ去った時間や変わらない想いを静かに語るような歌詞が印象的で、じんわりと胸に残る一曲です。 - 「Asshole」
フォークの柔らかさに、ほんのり毒気を混ぜた異色の楽曲。軽快なリズムとキャッチーなメロディが耳を引きつける一方、皮肉や感情のざらつきを含んだ歌詞が対照的で、バンドの新たな一面を感じさせます。 - 「So Long」
特有の温もりあるアコースティックサウンドに、別れの切なさを織り込んだナンバー。シンプルな編成ながらも、歌声とメロディが胸に深く響き、余韻のある静かな感動を残します。
アルバム総評
『Automatic』は、The Lumineersがこれまで培ってきた音楽的魅力を凝縮しつつ、さらに成熟した表現力で新たな地平を切り開いた作品です。控えめながらも心を揺さぶる旋律、情景が浮かぶような歌詞、そしてサウンドスケープの緻密さが三位一体となり、アルバム全体を通して一つの長編映画のような統一感を生み出しています。ドライブや深夜のリスニングにぴったりで、繰り返し聴くほどに細部の美しさを発見できる傑作です。フォークやアメリカーナのファンはもちろん、物語性を重視した音楽を愛する人に強くおすすめしたい一枚です。