『D-Sides』は、2007年にリリースされたGorillazのBサイド・コレクションであり、2005年の名盤『Demon Days』期に制作された未発表曲やリミックスをまとめた2枚組アルバムです。このアルバムは、Gorillazの実験的かつ多面的な音楽性をより深く知る手がかりであり、ファンにとってはまさに「もう一つのDemon Days」とも言える濃密な作品集です。
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ジャンルと音楽性
Gorillazならではのヒップホップ、エレクトロ、ダブ、ロックが交錯する音楽性は、『D-Sides』でも健在。だが本作はより荒削りで、時にはアンダーグラウンドな匂いすら漂わせる。アルバムは、完成されたポップソングよりも、制作過程の中で生まれた断片や、音楽的な実験を聴く感覚に近い。だからこそ、Damon Albarnの創作の幅と、Gorillazというプロジェクトの懐の深さを存分に味わえる一枚でもある。
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おすすめのトラック
- 「Hongkongaton」
ダブやレゲエの影響が色濃い1曲で、スモーキーな雰囲気と緩やかなビートが魅力的。無国籍的な音の配置がGorillazらしさを際立たせる。 - 「Rockit」
退廃的でミニマルな構成が印象的なトラック。反復するビートに不穏なシンセ、そして「Back to the rockit / back to the beat」というフレーズの中毒性が高い。精神的な疲弊や都市生活の孤独を抽象的に表現しているようにも聴こえる。 - 「People」
『Demon Days』の人気曲「DARE」の初期バージョン。テンポやヴォーカルのアプローチが異なっており、進化の過程を体験できる貴重な一曲。 - 「Murdoc Is God」
Gorillazのベーシスト、Murdoc Niccalsに焦点を当てたユーモラスかつカルト的なナンバー。ファンにはたまらないキャラクターソング的な側面と、パンキッシュなローファイサウンドが融合した異色作。 - 「68 State」
インストゥルメンタルでありながら、哀愁を帯びたメロディが印象的。空間を感じさせるサウンドスケープは、映画のサウンドトラックのような広がりを持っている。
アルバム総評
『D-Sides』は、決して「寄せ集め」では終わらない、Gorillazの実験精神と創造性が詰まった異色作。完成度では『Demon Days』には及ばないものの、その分、楽曲ごとの個性が際立ち、制作過程の熱量や迷い、遊び心を生々しく感じ取ることができる。「完成されすぎたGorillaz」ではなく、「生きているGorillaz」がここにある。ファンにはもちろん、Gorillazをもっと深く知りたいリスナーにも強く推薦できるアルバムだ。