1983年にリリースされたJackson Browneの7作目のスタジオアルバム『Lawyers in Love』は、彼のキャリアの中でも転機となる一枚です。70年代の内省的でフォーク・ロック的な作風から、より政治的かつ風刺的な視点を取り入れた作品へとシフト。このアルバムでは、アメリカの社会状況や冷戦下の空気を軽妙なユーモアで包みながらも、深いメッセージを込めたリリックと、ポップ・ロック色の強まったサウンドが印象的に響きます。
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Amazon.co.jp: Lawyers in Love : ジャクソン・ブラウン: デジタルミュージック
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ジャンルと音楽性
『Lawyers in Love』は、ジャンル的にはアメリカン・ロック/ポップ・ロックに分類されますが、そこには80年代初頭らしいシンセサイザーの導入や、レイドバックしたリズム、滑らかなギター・アレンジなど、洗練された音作りが光ります。Browneのヴォーカルは相変わらず誠実でありながら、やや皮肉めいた表現を交えて、音楽的にもリリック的にも成熟したアプローチが伺えます。
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おすすめのトラック
- 「Lawyers in Love」
アルバムのタイトル・トラックであり、まさに本作のテーマを象徴する一曲。アメリカ社会の空虚さを、法曹界とラブストーリーという一見ミスマッチなモチーフで風刺。シンセが主導する軽快なポップ・ロックで、皮肉とユーモアが絶妙にブレンドされています。 - 「Tender Is the Night」
ロマンティックなメロディに乗せて、関係性の儚さと時間の経過を繊細に描くバラード。ギターのアルペジオとBrowneの温かみあるボーカルが心に沁みる一曲で、アルバム内でも屈指のエモーショナルな瞬間です。 - 「Say It Isn’t True」
このアルバムでもっとも政治色の強い曲の一つ。冷戦や核戦争への不安を直接的に歌い上げた楽曲で、繰り返される「Say it isn’t true」が切実な願いとなってリスナーの胸を打ちます。 - 「For a Rocker」
この曲だけは異色の存在。テンポの速いロックンロール調で、亡くなったミュージシャンに捧げたトリビュート・ソング。80年代的なノリとエネルギーに溢れていて、アルバム全体のバランスを軽やかにしています。
アルバム総評
『Lawyers in Love』は、Jackson Browneの音楽的成熟と社会的視点の拡がりを感じさせる意欲作です。メロディの親しみやすさとリリックの深みのバランスが絶妙で、リスナーを楽しませながらも考えさせるアルバムと言えるでしょう。80年代のアメリカという時代背景を映し出しつつ、普遍的な人間の感情や社会との関係を描いたこの作品は、今なお色あせることのない魅力を放っています。