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シャダー・トゥー・シンクの『Pony Express Record』は、変態的なリズムの迷宮で、オペラティックなファルセットが狂おしく響く!ポップとアヴァンギャルドの境界を破壊した、ポスト・ハードコアの頂点にして異端児が放った90年代ロックの最重要問題作

alternative Rock/Alternative
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1995年にEpic Recordsからリリースされた『Pony Express Record』は、ポスト・ハードコアの異端児Shudder To Thinkが到達した、演劇的で壮大なアート・ロックの境地を示す作品です。前作『Chocolate』で確立した複雑な変拍子とポップセンスの融合をさらに推し進め、ボーカルのクレイグ・ウェドレンが持つオペラティックなファルセットとドラマチックな編曲が全面に押し出されています。彼らのキャリアにおいて最も野心的で、ジャンルの枠を超越した問題作として位置づけられています。

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Amazon.co.jp: Pony Express Record : Shudder to Think: デジタルミュージック
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ジャンルと音楽性

本作は、D.C.ハードコアのルーツを持つバンドが、ポスト・ハードコア、マスロック、アート・ロック、そしてグラムロック的な演劇性を独自にブレンドしたサウンドを提示しています。難解な変拍子や予想外のコードチェンジといった複雑な構造はそのままに、各曲は異様なほどにメロディックで洗練されています。ウェドレンの比類なきボーカルは、時にはウィスパーから鋭いシャウト、そして官能的なハイ・トーンへと自在に変化し、楽曲に映画的なスケールと緊張感を与えています。

おすすめのトラック

  • 「Sweet Year Old」
    複雑なリズム構造を保ちつつ、クレイグ・ウェドレンの感情豊かなファルセットと切ないギターワークが融合し、静かな情熱を秘めた深みのあるアート・ロック・バラードに仕上がっています。彼らのポップセンスと異端性が最も美しく調和した一曲と言えます。
  • 「Hit Liquor」
    Shudder To Thinkの持つポスト・ハードコア、マスロック的な要素が凝縮された、攻撃的でエネルギッシュな一曲です。予測不能に切り替わる変拍子と、不安定なコード進行が特徴的で、聴く者を不安にさせながらも引き込む独特の緊張感があります。
  • 「Chakka」
    ポスト・ハードコアのルーツを強く感じさせる、生々しく、荒々しいエネルギーに満ちています。不協和音を多用したギターリフが緊張感を高め、猛烈なドラムとベースがそれを支えます。特に、クレイグ・ウェドレンがシャウトとファルセットを織り交ぜながら感情を叩きつけるヴォーカル・パフォーマンスは圧巻で、楽曲全体に強烈なインパクトを与えています。
  • 「9 Fingers On You」
    初期の激しさを保ちつつも、よりメロディと構成の複雑さを追求しています。実験的なギターのフレーズや、ダイナミクスの急な変化も聴きどころです。ポスト・ハードコアからアート・ロックへと完全に移行した彼らの、技術的な挑戦と表現力の高まりが感じられる、非常に中毒性の高い一曲です。

アルバム総評

『Pony Express Record』は、当時のオルタナティブ・ロックシーンにおいて類を見ない、孤高の表現者としてのShudder To Thinkの地位を決定づけた一枚です。大胆な構造とエモーショナルな表現が融合したこの作品は、その後の多くのアート・ロックやインディー・バンドに影響を与えました。挑戦的でありながら聴きごたえがあり、彼らの「異形なロック・オペラ」を深く味わいたいリスナーに強くお勧めします。

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