Babyshamblesのデビューアルバム『Down In Albion』は、2005年にリリースされた作品であり、Pete Dohertyのカオティックで生々しい音楽的ヴィジョンを体現した一枚です。The Libertines解散後、彼が新たに描き出したサウンドは、不安定さと衝動を抱えつつも強烈な個性を放っています。荒削りで混沌とした雰囲気の中に、英国ロックの伝統とストリート感覚が同居しており、リスナーを中毒的に惹きつける不思議な魅力を持つアルバムです。
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ジャンルと音楽性
『Down In Albion』は、ガレージロックやインディーロックをベースにしつつ、レゲエやフォークの要素も取り入れた雑多で折衷的なサウンドが特徴です。スタジオ録音でありながらも即興的で、時には未完成にすら感じられるラフさが、逆にこの作品のアイデンティティとなっています。メロディはキャッチーでありながら、演奏やプロダクションはあえて粗さを残し、Pete Doherty自身の混沌とした内面や当時の生活の断片をそのまま封じ込めたような音像を作り上げています。
おすすめのトラック
- 「Killamangiro」
シングルとしても知られるこの楽曲は、レゲエ的なリズムとパンキッシュなエネルギーが同居したアルバムの代表曲。独特のグルーヴとクセのあるリフが耳に残り、Pete Dohertyの奔放なボーカルが曲の不安定な魅力を一層際立たせています。 - 「Albion」
アルバムの核とも言える楽曲で、幻想的かつ叙情的な雰囲気をまとっています。イギリスという土地や文化を寓話的に描いたリリックが特徴的で、Dohertyの世界観を最も鮮やかに感じられるナンバー。切なさと詩情が同居する美しいトラックです。 - 「Fuck Forever」
破壊的で挑発的なタイトルそのままに、ラフで奔放なエネルギーが爆発する曲。パンク的な反骨精神と刹那的な疾走感が込められており、アルバムの混沌を象徴する存在です。ライブでも高い人気を誇る一曲。 - 「A’Rebours」
ゆったりとしたテンポとサイケデリックなムードが漂うトラック。アルバム全体の流れの中で独特の空気感を生み出し、実験的でアンバランスな美しさを感じさせます。
アルバム総評
『Down In Albion』は完成度や整合性を求める作品ではなく、むしろ不安定さと破綻寸前の危うさが最大の魅力となっています。Pete Dohertyの混沌とした人生観と当時のバンドの空気感がストレートに記録されており、聴き手にとっては「作品」というよりも「体験」に近い印象を与えます。英国インディーの歴史の中でも異彩を放つ一枚であり、粗削りでありながら独特の輝きを放ち続けるアルバムです。バンドの自由奔放さとPete Dohertyのカリスマ性を強烈に刻みつけたデビュー作として、今なお語り継がれるにふさわしい一作と言えるでしょう。