スペインのMunster Recordsが手がけたコンピレーション・シリーズ『All Kindsa Girls』は、90年代インディー・シーンにおけるガールズ・バンドの多様性とエネルギーを凝縮した作品群だ。その中でも『All Kindsa Girls Vols. 1 To 4 & Bonus』は、世界中の女性ボーカル中心のバンドを集めた21曲入りのコンピレーションで、ガレージロック、パンク、パワーポップ、Riot Grrrlの要素が混ざり合う、まさに“ガールズ・ロックの国際見本市”と呼ぶにふさわしい内容となっている。
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Amazon.co.jp: All Kindsa Girls : VARIOUS ARTISTS: デジタルミュージック
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ジャンルと音楽性
このアルバムの核となるのは、60年代ガレージロックのスピリットと、90年代のDIYパンクの反骨精神。ローファイでラフな音作りながら、各バンドが持つ個性が際立っており、怒り、ユーモア、フェミニズム、ポップセンスが絶妙に交差する。ジャンル的にはガレージロック、パンクロック、ポップパンク、パワーポップ、さらにはRiot Grrrl的なアティチュードも感じられ、聴き手に強烈な印象を残す。
おすすめのトラック
- Stepford 5「Little Sisters of Satan」
- アルバムの冒頭を飾るこの曲は、サイケデリックなギターと不穏なボーカルが印象的。タイトル通りのダークな世界観を持ちながらも、どこかポップな感触があり、聴き手を引き込む。
- Cub「Your Bed」
- カナダのインディー・ポップバンドCubによるこの曲は、1分半という短さながら、甘酸っぱいメロディとローファイな質感が絶妙。ガレージ・ポップの魅力が凝縮された一曲。
- Candy 500「Dicklicious」
- タイトルからして挑発的なこの曲は、フェミニズムとユーモアが融合したパンク・アンセム。荒々しいギターと力強いボーカルが、聴く者に強烈なインパクトを与える。
- The 5.6.7.8’s「Let Him Dance」
- 日本のガレージ・ロック・トリオによるこの曲は、60年代のロックンロールを彷彿とさせるビートと、キュートでパンチのあるボーカルが魅力。国際色豊かな本作の中でも特に光る存在。
- Lolita No.18「Saloone」
- 日本のパンク・バンドによるこの曲は、スピード感と攻撃性に満ちた演奏と、独特のメロディセンスが融合。Riot Grrrl的なエネルギーを感じさせる一曲。
アルバム総評
『All Kindsa Girls』は、単なるガールズ・コンピレーションではなく、90年代のインディー・シーンにおける女性アーティストたちの多様な表現と連帯感を記録した貴重なアーカイブだ。国境を越えて集められたバンドたちが、それぞれの文化や背景を持ちながらも、共通するDIY精神と反骨心で繋がっている。ローファイで荒削りなサウンドの中に、確かなメッセージと個性が宿っており、聴くたびに新たな発見がある。ガレージ・パンク好きはもちろん、フェミニズムやインディー文化に関心のあるリスナーにも強くおすすめしたい一枚だ。