Guana Batz/Held Down To… At Last
ミドルセックス州フェルサム出身のサイコビリーバンド、Guana Batzのデビューアルバム『Held Down to Vinyl…At Last!』は、1985年夏にアイ・ディー・レコードよりリリースされました。ヴォーカルのピップ・ハンコックス、ギタリストのスチュアート・オズボーン、スラップベースのサム・サーディ(元リコシェッツ)、ドラムのデイヴ・ターナーという布陣で録音された全10曲・25分という本作は、前年のラインナップ変更でエレクトリックベースからダブルベースへの転換を果たした後、バンドが満を持して届けたデビュー盤です。
テーマとテンポの絶妙なヴァリエーション、タイトなサウンド、巧みに作られた楽曲、そしてスキップしたくなるトラックが一曲もないという完成度の高さが、本作を「サイコビリー史の10大必聴盤のひとつ」と呼ばしめています。ユーケー・インディペンデント・チャートで1位を獲得したという事実は、ザ・メテオスのみが成し遂げてきたサイコビリーにおける偉業として、バンドの先駆的な地位を確固たるものにしました。
ジャンルと音楽性
パンクロックのスピードと攻撃性を持ったロカビリーを演奏するGuana Batzは、ザ・メテオス、スティングレイズ、ザ・キャラヴァンズらが活躍したブリティッシュ・サイコビリーシーンに見事にはまり込んでいます。
ホップド・アップなロカビリーの躍動感と、パンクの生々しいエネルギーが完璧に融合した本作のサウンドは、ザ・クランプス、ザ・ガン・クラブ、ストレイ・キャッツへの敬意を感じさせながら、独自のスタイルを確立しています。サム・サーディのスラップベースが生み出す猛烈なグルーヴと、スチュアート・オズボーンのシャープなギターリフ、そしてピップ・ハンコックスの個性的なボーカルが三位一体となったサウンドは、1985年のサイコビリーシーンを文字通りひっくり返しました。

Guana Batz/Held Down To… At Last
おすすめのトラック
- Down on the Line
アルバムの幕開けを飾る、Guana Batzの本領発揮オープナーです。
3分17秒という本作最長トラックのひとつで、スラップベースが引き込み、ギターリフが炸裂する疾走感と重厚感が絡み合う完璧な入口です。このバンドが何者かを最初の一音で完璧に宣言するこの曲は、デビューアルバムのオープナーとして理想的な一曲です。 - Can’t Take the Pressure
バンドのシグネチャー・ソングとして長年愛されてきた一曲です。
「プレッシャーに耐えられない」というタイトルが示す反骨精神と、猛烈なスラップベースとギターが生み出す疾走感が絡み合うこのトラックは、Guana Batzの本質を最もストレートに体現した一曲です。ライブでは観客が一斉に飛び跳ねる、本作屈指のアンセムです。 - Lady Bacon
「レディ・ベーコン」というユーモラスなタイトルが示す、Guana Batzの遊び心と音楽的才能が絶妙に同居する一曲です。アルバムのテーマとテンポの絶妙なヴァリエーションを最もよく示すトラックのひとつで、2分55秒の短さの中に笑いとグルーヴが凝縮されています。 - King Rat
ミック・ホワイト作曲のこのトラックは、アルバムを代表する「鼠の王様」をテーマにしたホラー色の強いサイコビリー・ナンバーです。
ダークな歌詞とGuana Batzのスピード感が最もうまく融合したこのトラックは、バンドのホラー的側面とロカビリーの躍動感が最高の形で交差する瞬間を封じ込めています。後のベスト盤にも繰り返し選出されるバンドの重要曲です。
アルバム総評
「テーマとテンポの絶妙なヴァリエーション、タイトなサウンド、巧みに作られた楽曲、スキップしたくなるトラックが一曲もない」という評価が示す通り、本作はサイコビリー史において特別な地位を占める傑作です。
クラブ・フットのコンピレーション『Stompin’ at the Klub Foot』への参加でシーンに登場したGuana Batzが、満を持して届けたこのデビューアルバムは、40年以上が経過した今も「サイコビリーの10大必聴盤のひとつ」として世界中で語り継がれています。25分という短さが、むしろこのアルバムの最大の武器であり、聴き終えた後に即座にもう一度針を落としたくなる中毒性こそが、このバンドの真骨頂です。
🎵King Rat


