Glass Animals/I Love You So F***ing Much
イングランドのインディポップバンド、Glass Animalsの4thスタジオアルバム『I Love You So F***ing Much』は、2024年7月19日にポリドール・レコードよりリリースされました。フロントマンのデイヴ・ベイリーが全曲プロデュースを担当した全10曲・40分41秒の本作は、先行シングル「Creatures in Heaven」(2024年4月3日)と「A Tear in Space (Airlock)」(2024年6月7日)を経てリリースされ、ビルボード・ユーエス・トップ・オルタナティブ・アルバムで3位を記録しています。
「愛について考えるとき、何を考えますか?」という問いかけから始まる本作は、過去の恋愛へのノスタルジア(「Creatures in Heaven」)からスリリングな逃避と再生(「On the Run」)まで、愛のさまざまな側面を10曲で描いています。アルバムの前半はサウンド的に陽気でありながら、歌詞は全く別の物語を語るという絶妙な対比が際立っています。
ジャンルと音楽性
前作までと比べてはるかに「ロック寄り」に振れたサウンドが本作の最大の変化で、舌に挟んだような皮肉めいた楽曲と、赤裸々なほど正直な楽曲が混在するのが特徴です。
80年代の雰囲気を色濃く纏った本作は、ビタースウィートなアートハウス・ロマンスがハリウッド大作の中で居場所を争うような感覚を与え、繊細なアウトサイダー関係の傷ついた情景が、壮大なサウンドの下に埋め込まれています。

Glass Animals/I Love You So F***ing Much
おすすめのトラック
- Show Pony
アルバムの幕開けを飾る、本作を象徴するオープナーです。
陽気なアンビエンスとは裏腹に、「ボーイ、そのスカーはよっぽど深いんだね」という歌詞が示す通り、傷と痛みを笑顔の下に隠した人物の物語が展開します。サウンドと歌詞の対比がこのアルバム全体のテーマを最初の一音で体現しており、シングルとしてリリースされた本作の完璧な入口です。 - Creatures in Heaven
リード・シングルとして先行リリースされた、アルバムの問いかけを体現する一曲です。
「天国の生き物たち」というタイトルの下、過去の恋愛へのノスタルジアと「愛とは何か」という問いが絡み合うこのトラックは、デイヴ・ベイリーの最も正直なストーリーテリングが発揮された一曲です。 - A Tear in Space (Airlock)
アルバムの2枚目のシングルとしてリリースされた、宇宙空間のメタファーを用いた美しいトラックです。
「宇宙の裂け目(エアロック)」というタイトルが示す通り、愛の喪失と隔絶感を壮大なスケールで描いており、Glass Animalsが最も実験的なサウンドに踏み込んだ瞬間として多くのファンから愛されています。 - Lost in the Ocean
アルバムを締めくくる、感情的なカタルシスの集大成です。
「海に迷い込む」という比喩が愛の混乱と迷子感を完璧に表現するこのクロージング・トラックは、10曲の旅の終着点として完璧な余韻を残します。デイヴ・ベイリーのボーカルが最も剥き出しで輝く、このアルバムの感情的なハイライトです。
アルバム総評
「ドリームランドがGlass Animalsを大きくしたアルバムかもしれないが、曲ごとに見れば、本作の思慮深く不安に満ちたポップの方がより充実しているかもしれない」という評価が示す通り、本作はバンドが最も内省的に向き合った作品です。
前作の高みとの綱渡りを巧みにこなしながら、10曲を通じてバンド最も内省的な姿を示した本作は、Glass Animalsが「Heat Waves」だけのバンドではないことを改めて証明しています。愛の複雑さと痛みを正面から描き切った2024年必聴の一枚です。
🎵A Tear in Space (Airlock)


