Mad Sin/Chills and Thrills in a Drama of Mad Sins and Mystery
1987年にベルリンで結成されたドイツのサイコビリーバンド、Mad Sinのデビュースタジオアルバム『Chills and Thrills in a Drama of Mad Sins and Mystery』は、1988年にメイビー・クレイジー・レコードよりリリースされました。
わずか100ドイツマルクとケバブ一皿という驚くべき低予算でハンブルクへ赴き録音された本作は、ホリーが奏でる力強いスラップベースとケフテ・デヴィルの狂気のヒックアップ・ボーカルを武器に、高速サイコビリーにLSDを染み込ませたような新しく独特のサウンドで、バンドをシーン屈指の人気アクトへと押し上げました。学校を中退したケフテ・デヴィルが、パンクとロカビリーを愛するギタリストのスタインと、ベース歴わずか4週間のホリーとともに結成したバンドが、ベルリンの怪しいバーでのギグを経て世界に放った、全13曲の傑作デビュー盤です。
ジャンルと音楽性
サイコビリーとパンクロックを核に、カントリーとメタルの要素も取り込んだMad Sinのスタイルは、ロカビリーをスピードアップしたサウンドにパンク、ホワイト・トラッシュ・ブルース、舌先三寸の皮肉を融合させたものと評されています。特に8曲目「Shake the Thing」ではキャプテン・ビーフハートを思わせる興味深いタッチが感じられます。ホラー・パンクとBムービーへの愛が全編に滲み出ながら、サイコビリーの枠に縛られることなく独自のサウンドを確立しています。

Mad Sin/Chills and Thrills in a Drama of Mad Sins and Mystery
おすすめのトラック
- Acid Train
アルバムの幕開けを飾る、3分26秒の猛烈なオープナーです。
「酸のような列車」というタイトルが示す通り、Mad SinのサイコビリーがLSDを染み込ませたような狂気と疾走感でスタートするこのトラックは、バンドが何者かを最初の一音で完璧に宣言しています。ホリーのスラップベースとケフテ・デヴィルのヒックアップ・ボーカルが一体となった、このアルバムの完璧な入口です。 - Shake the Thing
キャプテン・ビーフハートを思わせる興味深いタッチが感じられる、アルバム8曲目の異色の一曲です。
Mad Sinがサイコビリーの枠を超えた実験精神を最も色濃く発揮したこのトラックは、ほかの12曲とは一線を画す独特の質感を持っており、バンドの音楽的な幅の広さを証明しています。奇妙でありながら中毒性があるという、Mad Sinの真骨頂ともいえる傑作です。 - Straight to Hell
2分ちょうどの電撃的な一曲で、「地獄直行」というタイトルが示す通り、Mad Sinのホラー的世界観とパンクの爆発力が最もストレートに発揮されたトラックです。
全速力でゴールに突き進むような疾走感は、このアルバムの中でも特に聴き手を興奮させる一曲で、ライブでは観客が一斉に飛び跳ねるアンセムです。 - Sell Your Soul
「Sell Your Soul」はこのアルバムの多くのヒットのひとつで、今日でも別バージョンがバンドのライブショーの一部となっている、アルバム後半の最大のハイライトです。
「魂を売れ」というタイトルが示す悪魔との取引をテーマにしたこのトラックは、Mad Sinのホラー的歌詞と音楽的才能が最も見事に融合した、バンドのカタログの中でも特別な輝きを放つ傑作です。
アルバム総評
「Chills and Thrills in a Drama of Mad Sins and Mystery」はすべてのMad Sinファンとそのコレクションにとって絶対に必携の一枚です。このデビューアルバムにより、Mad Sinはすでに名声を確立していました。ディスコグスで平均評価4.44という高評価が示す通り、本作はドイツが生んだサイコビリーの最高傑作のひとつとして今なお世界中のリスナーに愛されています。わずか100ドイツマルクで録音された衝撃の一枚が、ヨーロッパのサイコビリーシーンをどれほど塗り替えたか――その答えは全13曲に刻まれています。
🎵Sell Your Soul


