Frantic Flintstonesは1980年代後半から活動を続けるイギリス発のサイコビリーバンドであり、その名に恥じぬ破天荒でハイエナジーなサウンドを武器に、ヨーロッパを中心にカルト的な人気を誇ってきました。そんな彼らの異色にして注目すべきアルバム『Rockin’ Out & Not Christmas Album』は、そのタイトル通り「クリスマスアルバムじゃない」とわざわざ断言するユーモアとアイロニーに満ちた作品ですが、その中身はFrantic Flintstonesらしいグリースまみれのロカビリー魂と、時折顔を覗かせるポップセンスの融合体です。
このアルバムは、ただのサイコビリーでは終わらない。ノイズとスラップベースの疾走感を軸に、時にはほろ苦いメロディーや、パンキッシュな怒りを詰め込んだ曲も並び、Frantic Flintstonesの幅広い音楽的バックボーンが垣間見えます。
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ジャンルと音楽性
Frantic Flintstonesの音楽は典型的なサイコビリー(psychobilly)に分類されますが、その枠に収まりきらない多様なアプローチが特徴です。クラシックなロカビリーのリズムに、パンクの攻撃性とホラー/カルト映画的な世界観が融合。さらにこのアルバムでは、一部ポップなメロディラインやユーモラスなリリックも加わり、よりキャッチーで聴きやすい側面も強調されています。
おすすめのトラック
- 「Rockin’ Out」
アルバムの幕開けにふさわしい一曲。怒涛のスラップベースとラフなギターリフで、即座にFrantic Flintstonesワールドへ引きずり込まれます。サビのコーラスもクセになる中毒性あり。 - 「One Night Stand」
荒々しいスラップベースとスピード感あるギターが炸裂する、まさに一夜限りのロカビリー狂騒劇。酒と汗とロックンロールの香りが詰まった、彼ららしい衝動の一曲です。 - 「Hot Head Baby」
火花が散るような勢いとユーモアが同居するサイコビリー・ナンバー。暴走気味のボーカルと跳ねるビートが癖になる、ライブ映え必至の痛快チューンです。 - 「Let’s Go Somewhere (Rockin’)」
陽気で軽快なサイコビリーの王道を行く一曲。疾走感あふれるリズムと、どこか懐かしいロカビリーの香りが融合し、聴けば思わず踊りたくなるパーティー・チューンです。 - 「Chuck Blows a Fuse」
Frantic Flintstonesの真骨頂ともいえるエネルギッシュなサイコビリー・ナンバー。暴れ馬のようなギターとドラムの疾走感に、パンキッシュでひねくれたユーモアが光る一曲です。聴けばきっと、”ヒューズが飛ぶ”こと間違いなし。
総評
『Rockin’ Out & Not Christmas Album』は、Frantic Flintstonesの真骨頂を味わえる傑作です。「ふざけながら本気でロックする」彼らの姿勢が全編にわたって貫かれ、サイコビリー初心者から長年のファンまで幅広く楽しめる内容に仕上がっています。タイトルに騙されずに聴けば、そこにはサイコビリー愛と遊び心がぎっしり詰まった世界が待っています。