ロックンロールがイギリスで目を覚ました――そんな瞬間を閉じ込めたのが、Cliff Richard & The Shadowsの初期音源を集めたコンピレーションアルバム『The Early Years』だ。1958年の「Move It」で鮮烈なデビューを飾った彼らは、アメリカ発祥のロックンロールをイギリス流に昇華し、後のブリティッシュ・インヴェイジョンに大きな影響を与えた存在でもある。本作は、そんな黎明期の熱量を存分に体感できる貴重な一枚となっている。
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ジャンルと音楽性
ジャンルはもちろん「ロックンロール」および「ロカビリー」、時に「ドゥーワップ」や「ポップス」の要素も織り交ぜた初期60年代の英国産オールドスクール・ロックだ。The Shadowsの卓越したインストゥルメンタルと、Cliff Richardの若々しくも艶のあるボーカルが絶妙に融合し、シンプルながらも完成度の高いサウンドを生み出している。特にThe Shadowsのギターリフは、後のビート・ミュージックへの橋渡し的な存在としても評価されている。
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おすすめのトラック
- 「Dynamite」
その名の通り爆発的なエネルギーに満ちたロックンロール・ナンバー。シャドウズのキレ味鋭いギターと、クリフのシャウト気味のボーカルが火花を散らし、初期ブリティッシュ・ロックの熱量を体現した1曲です。 - 「Mean Streak」
若さと反骨精神が炸裂するロカビリー調の一曲。勢いのあるギターリフと跳ねるようなビートに乗せて、恋と怒りが交錯するティーンエイジャーの衝動がストレートに表現されています。 - 「Nine Times Out of Ten」
軽快なロカビリー・ナンバー。勢いあるビートとキャッチーなメロディで、恋のジレンマを明るくポップに描き出す、初期の代表的ロックンロールチューンです。 - 「Mumblin’ Mosie」
遊び心あふれるロカビリー・トラック。軽快なギターリフとリズミカルなシャッフルビートが楽しく、コミカルな歌詞と相まって、初期のバンドの多彩な魅力を感じさせる1曲です。
アルバム総評
『The Early Years』は、Cliff Richard & The Shadowsが築いた英国ロックの原点を記録した貴重な音源集であり、後のビートルズやローリング・ストーンズの礎ともいえる作品群を収録している。洗練されすぎない素朴さ、時代特有のアナログな温もり、そして何よりロックンロールの初期衝動が詰まったこのアルバムは、単なる懐古趣味を超えた音楽的価値を持っている。ビンテージ・サウンドを愛するリスナーはもちろん、ポップスやロックのルーツを探る音楽ファンにとっても、ぜひ一度通して聴いておきたい作品だ。