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セイント・エティエンヌの『Foxbase Alpha』は、ロンドンの街角を漂う夜風のように、60’sポップの甘美さと90’sクラブカルチャーの躍動をひとつに織り込み、過去と未来を自由に行き来する“都会の夢想サウンドトラック”

Pop Pop/Soul/Jazz
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1991年にリリースされたSaint Etienneのデビューアルバム『Foxbase Alpha』は、当時のUKインディーシーンの中でもひときわ異彩を放つ存在だ。ハウス、ポップ、インディー、60年代的サイケやソウルの断片を大胆に融合し、ロンドンのクラブカルチャーとレトロなポップ感覚を同時に描き出した本作は、ただのデビュー盤ではなく、後のブリットポップやエレクトロポップの潮流にも影響を与える先鋭的な作品として高く評価されている。サラ・クラッケネルの柔らかくも気だるいヴォーカルは、アルバム全体に都会的なメランコリーと夢見心地の浮遊感を与え、聴く者をロンドンの街角に迷い込ませるような没入感を生み出している。

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ジャンルと音楽性

『Foxbase Alpha』は、ハウスやダンスミュージックのリズムを基盤にしながら、60年代ガールグループ的メロディやサイケデリックなアレンジを散りばめた、ジャンル横断的なアルバムだ。サンプリングを大胆に駆使し、映画のセリフやクラブトラック的ビートを組み合わせる手法は、まさに90年代初頭ならではのポストモダン的実験精神の産物。とはいえ冷たさはなく、ポップスの温もりをしっかりと抱えている点がSaint Etienneらしさだ。レトロとモダン、都会と郊外、夢と現実の境界を曖昧にするこのサウンドは、時代を超えて色褪せない魅力を持っている。

おすすめのトラック

  • 「Only Love Can Break Your Heart」
    ニール・ヤングの名曲を大胆にハウス調にアレンジしたカバーで、アルバムの代表曲。軽やかなビートとサラのドリーミーなヴォーカルが融合し、原曲とは全く違う都会的ポップアンセムに仕上がっている。
  • 「Nothing Can Stop Us」
    60年代ソウルの要素を取り入れつつ、クラブ的なリズムで構築されたナンバー。哀愁を帯びたメロディと跳ねるようなビートが、心地よいノスタルジーを呼び覚ます。
  • 「Girl VII」
    ロンドンのストリートを映すようなサンプリングとリズムが印象的。夜の都市を歩く感覚を音で体現したようなクールな仕上がり。
  • 「London Belongs to Me」
    タイトル通り、ロンドンへのラブレターともいえるトラック。しっとりとしたメロディと詩的な歌詞が、都市生活の孤独や愛着を鮮やかに描く。
  • 「Like the Swallow」
    アンビエント的な要素を持ち、アルバムの中でも最もドリーミーで幻想的な一曲。浮遊感のあるサウンドは、作品全体を締めくくる余韻として美しい。

アルバム総評

『Foxbase Alpha』は、ただのデビュー盤にとどまらず、90年代以降のUK音楽の可能性を広げた記念碑的な作品である。ハウスやクラブミュージックの要素を取り込みつつも、決してクラブ専用ではなく、リスニング・アルバムとしても成立するバランス感覚の良さは驚異的だ。サラの声が放つ都会的な憂いと、ボブ・スタンレー&ピート・ウィッグスの大胆なサンプリングセンスが融合し、ジャンルの枠を超えて「都市のサウンドトラック」として機能する。レトロなエッセンスを未来志向で再構築したこのアルバムは、今聴いても新鮮であり、同時にどこか懐かしい。Saint Etienneの原点にして最高傑作のひとつとして、UK音楽史において特別な存在感を放ち続けている。

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