日本発、世界を熱狂させたガールズガレージロックバンド、ザ・ファイブ・シックス・セブン・エイツ。彼女たちの1997年作『Pin Heel Stomp』は、ロカビリー、サーフ、ガレージパンクを絶妙にミックスした痛快な一枚。英語・日本語が混じった歌詞、荒削りでパワフルな演奏、そしてどこかユーモラスな空気感は、90年代オルタナティブシーンの異色として今なお新鮮に響く。
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Amazon.co.jp: Pin Heel Stomp : 5.6.7.8's: デジタルミュージック
ジャンルと音楽性
本作はロカビリー、サーフロック、60sガレージ、パンクを軸にしながら、The 5.6.7.8’s特有の“ジャンク・グルーヴ”でまとめられている。リヴァーブたっぷりのギター、鋭いビート、時折入るシャウト、そしてローファイな録音が、どこか古き良きロックンロール黄金時代の再現と、逆に“今”をぶっ壊すような衝動性の両方を感じさせる。まるでサーフボードに乗ってパンクロックが波に乗ってくるような――そんなイメージだ。
おすすめのトラック
- 「Pin Heel Stomp」
タイトル曲であり、アルバムの象徴的トラック。パンキッシュでスピード感のあるリズムに、シンプルながらクセになるリフ。ヒールで踏み鳴らすようなドラムが印象的で、冒頭から心を掴まれる。 - 「Dance in the Avenue A」
うねるリズムとざらついたギター、そしてクールに突き刺さるボーカルが、ニューヨークの片隅「Avenue A」に幻想的な熱気を生み出す。踊るというより暴れる――そんな衝動を封じ込めた1曲。 - 「Arkansas Twist」
激しいなビートとワイルドなギターが炸裂する、ツイスト・ナンバーの異端児!一気に駆け抜ける疾走感と、ローファイな録音が生み出す荒削りな魅力がたまらない。50年代ロックンロールへのオマージュを、彼女たちらしい反骨とユーモアでねじ切った、痛快な1曲。 - 「The Barracuda」
荒波を突き進むバラクーダの如く、鋭く、獰猛で、そしてスリリング。サーフロックのスピリットとガレージパンクのエネルギーがぶつかり合う一曲で、ザラついたギターリフとタイトなリズムが抜群にクール。言葉はいらない、ただ爆音で体感すべし!
アルバム総評
『Pin Heel Stomp』は、The 5.6.7.8’sの持つ原始的エネルギーとスタイルの良さを凝縮した名盤だ。海外のガレージ・パンクファンに日本のロックがどれだけ響いたかを証明するような内容で、後に彼女たちが『キル・ビル』で世界的に注目される伏線とも言える作品。ローファイであること、荒削りであることを武器に変え、時代を逆走するようなエッジの効いた一枚だ。ガレージロックやレトロサウンドが好きなリスナーには、間違いなく必聴だろう。