I Am the Avalanche/THE HORROR SHOW
ニューヨーク拠点のバンド、I Am the Avalancheの5thスタジオアルバム『THE HORROR SHOW』は、2026年4月10日にイコール・ヴィジョン・レコードよりリリースされました。6年ぶりのフルアルバムとなる本作は、フロントマンのヴィニー・カルアナの深い個人的な喪失の中で書かれた作品で、「歌詞の約75%は親友が突然かつ予期せぬ形で亡くなった後に書かれた」とカルアナ自身が語っています。
ドラマーのブレット・ロムネスがプロデュース・エンジニア・ミックスを担当し、ニュージャージー州レイク・ホパトコングの湖畔に建つ19世紀の教会を改築したバーバーショップ・スタジオで、10回にわたるセッション(1日のものもあれば1週間に及ぶものも)を経て完成した本作は、バンド史上最もテクスチャー豊かで広がりのあるアルバムとなっています。
ジャンルと音楽性
ポストハードコア、メロディック・ハードコア、オルタナティブロックにわたるフォレイが詰まった本作は、バンドのイヤーワームと心を揺さぶるメロディと歌詞を生み出す才能を存分に披露しています。ザ・メンジンガーズやガスライト・アンセムといった現代のロック・ゴッズに並ぶほどの誠実さと、ノン・モア・ブラックやシュック・ワンズといったメロディック・ハードコアの先達とは一線を画す個性が光っています。

I Am the Avalanche/THE HORROR SHOW
おすすめのトラック
- The Horror Show
アルバムのタイトルトラックにして、悲しみの核心を体現した一曲です。
陰鬱でドローンのかかったこのナンバーは、スローとファストのテンポの間をシームレスに行き来しながら、アルバム全体にメランコリックなムードを設定しています。親友の死に伴う悲しみのプロセスと、その結果として変容した世界観を詳細に描いた、アルバムのリードトラックです。 - Laughing and Bleeding
窓を開け、腕を外に出して走りたくなる、オープン・ハイウェイと夜のドライブのためのジャムです。
アルバムの中でも特に疾走感が際立ち、生々しい反骨精神と爆発的なエネルギーが全開になるこのトラックは、悲しみと喜びが同居するアルバムの感情的なダイナミクスを最もよく体現しています。 - I’m Not Dead (I Just Blinked and Never Saw the Light Again)
アルバム最長の約4分半を誇るこのトラックは、静かに始まり、不協和音で力強いインストゥルメンタル・セクションをフィーチャーしながらクレッシェンドへと昇り詰めていく、繊細なソングライティングと意図的なソニック・ランドスケープが織り交ぜられた一曲です。
ヴィニー・カルアナが歌うというより「何か深いものを浄化する」ような、アルバムの感情的な核心部です。 - I Miss California and Every Dog I’ve Ever Met
絶望と回復力の間の繊細なバランスを描いた、アルバム後半を彩る感情的なハイライトです。
カリフォルニアへの郷愁と、これまで出会ったすべての犬への愛情という、一見ほほえましいタイトルの下に、失ったものへの切実な想いと「それでも前を向く」という静かな決意が同居しています。メロドラマに傾きすぎず、痛みをリアルに保ちながら、かすかな光の感覚を共存させるというI Am the Avalancheの真骨頂が最も発揮された一曲です。
アルバム総評
20年以上のキャリアを経て、I Am the Avalancheは『THE HORROR SHOW』で新たな革命を起こそうとするのではなく、自分たちの音楽をさらに鋭く研ぎ澄ますことを選びました。その強みはまさにそこにあります。悲しみを感情的な燃料へと変える、生き抜いてきた者の内臓に響く傑作です。「Avalanche United以来、このバンドで最も好きな作品」という声も上がるほど、22年のキャリアの集大成として輝く本作は、傷ついても倒れないというバンドの精神を全11曲に渡って証明しています。
🎵I MISS CALIFORNIA AND EVERY DOG I’VE EVER MET



