1982年にリリースされたWall Of Voodooのセカンド・アルバム『Call of the West』は、ニューウェイヴとアメリカーナが奇妙に交差する独自のサウンドスケープを持った作品です。シンセサイザーとトワンギーなギター、語りかけるようなボーカルが織り成すその音世界は、80年代初期のアメリカの不安と郷愁を映し出しています。中でも代表曲「Mexican Radio」は今なおカルト的な人気を誇り、アルバム全体に漂うダークでサイケデリックな空気が、聴く者を西部の荒野と都市の狭間へと誘います。
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ジャンルと音楽性
『Call of the West』は、ニューウェイヴ、ポストパンク、エクスペリメンタル・ロックの要素を含んだユニークなジャンル融合アルバムです。特徴的なのは、アメリカのカウボーイ映画やロードムービーに出てくるような西部劇の美学を、シンセと機械的なビートで解釈したような異色のサウンド。Stan Ridgwayのナレーションのようなボーカルスタイルは、歌というよりも物語を語るようで、聴き手を常に作品世界に引き込んでいきます。
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おすすめのトラック
- 「Mexican Radio」
アルバムの代名詞的なナンバー。異国のラジオにチューニングを合わせるというユニークなテーマと、シンセとカントリー風ギターの組み合わせがクセになる一曲。ビジュアル的な歌詞が80年代初期のメディア感覚を象徴しています。 - 「Lost Weekend」
不穏なビートとポストパンク的なギターが映えるこの曲は、週末の孤独や倦怠を描いたシニカルなリリックが特徴。影のあるポップ感が魅力的です。 - 「Factory」
機械化された日常と労働者の閉塞感を、ミニマルなビートと無機質なシンセサウンドで描き出した名曲。この曲のリズムとテーマ性はDevoにも通じるところがあります。 - 「Call of the West」
アルバムのラストを飾るタイトル曲。広大な西部への憧れと、その裏にある虚無感を歌った、ダイナミックかつエモーショナルなトラック。幻想と現実が交錯するような構成が印象的です。 - 「They Don’t Want Me」
孤独と疎外感をテーマにしたこの曲は、内省的なムードが強く、Stan Ridgwayの語るような歌唱とマッチしています。中毒性のあるギターリフが癖になります。
アルバム総評
『Call of the West』は、アメリカの夢の裏側にある現実や孤独を、ユニークな音楽スタイルで可視化した異色のコンセプト・アルバムです。ニューウェイヴでありながら、カントリーやエスニックな要素、さらには映画的な語り口が融合したサウンドは、時代を超えて聴く者に強烈な印象を与えます。ポップスでもロックでもない、独自の「アメリカーナ・ニューウェイヴ」を体現した本作は、80年代の音楽を語るうえで見逃せない一枚です。