That’s a NO NO!/CARROT or STICK?
日本のインディー・ガレージシーンにおいて、そのワイルドかつポップなライブパフォーマンスでフロアを熱狂させてきたガールズ・ガレージロックバンド、That’s a NO NO!(ザッツ・ア・ノーノー!)。 彼女たちが前作から3年の沈黙を破り、2015年にインディーの名門サザナミレーベル(Sazanami Label)からドロップした2ndアルバム『CARROT or STICK?』は、バンドの武器である初期衝動的なガレージパンク精神はそのままに、ソウルフルなR&Bのコクと、どこか不気味で愛らしいホラーポップ要素を極限までブレンドした、まさにワクワクドキドキが止まらない隠れた傑作アルバムです。
ジャンルと音楽性
本作の核となる音楽ジャンルは、「ガレージ・ロック(Garage Rock)」「R&B/パブロック」「ホラー・ポップ」、および「60sガールグループ・ポップ」です。 1960年代のザ・アニマルズ(The Animals)やザ・フー直系のザラついたガレージ・ビートと、うねるR&Bベース。そこに、どこかレトロなB級ホラー映画を彷彿とさせるダークで遊び心あふれる世界観が乗っかるのが彼女たちの唯一無二のスタイルです。 小股の切れ上がったイカした啖跨を切るような、ボーカルのKeiによるハスキーでパンチの効いた歌声と、タイトかつ肉厚な楽器陣のアンサンブル。ただ激しいだけでなく、ウィットとユーモア、そして胸を締め付ける抜群のポップ・センスが同居した、聴く者を飽きさせないハイクオリティなクロスオーバー・サウンドを体現しています。

That’s a NO NO!/CARROT or STICK?
おすすめのトラック
- 「The Devil Laughs」アルバムのオープニングを華々しく飾る、スピード感全開のホラー・ガレージ・アンセムです。不穏なSEから一気に雪崩れ込む荒々しいギターと、 Keiのドスの効いたハスキーなヴォーカルが最高にスリリング。悪魔がほほ笑むようなダークファンタジー的世界観を1分台で一気に駆け抜けるカタルシス抜群の一曲です。
- 「Damn It!」アルバムからシングル・カットされ、ミュージックビデオも大きな話題を呼んだ、バンドの爆発的な初期衝動を体現する超高速ガレージ・ロックンロールです。歪んだファズ・ギターが耳を劈き、タイトで獰猛なドラムビートに乗せて、Keiのハスキーなシャウトが「Damn It!(クソくらえ!)」と炸裂。一度聴いたら理性を失って踊り出したくなるような、パンキッシュなカタルシスに満ち溢れた重要トラックです。
- 「The Loving Dead」彼女たちの「ホラー・ポップ」としての魅力が最も美しく結実した、ミドルテンポの哀愁ガレージ・ナンバーです。ロマンチックでありながら、どこかお墓からゾンビが踊り出てくるようなキュートで少し不気味なメロディラインが絶品。ただ暴れるだけでない、抜群のメロディセンスと緻密なコーラスワークに唸らされる重要トラックです。
- 「ただ寝ていたい」アルバムの最後を飾る、全ての現代人の本音をパンキッシュに代弁した、ユーモア抜群の日本語歌詞パンク・ポップです。タイトルの通り「何もしたくない、ただ寝ていたい」というけだるい日常の感情を、驚くほどキャッチーで口ずさみたくなる爽快なスリーコード・メロディに乗せて爆走させます。ライブでもフロアが狂喜乱舞する大人気ナンバーです。
アルバム総評
『CARROT or STICK?』は、That’s a NO NO!というバンドが持つ「ポップ」と「ワイルド」という相反する魅力を、完璧な黄金比率で真空パックした大傑作です。 アメコミ調のどこかレトロでコミカルな世界観の中で、演奏される音は極めてタイトで肉厚。60年代のビート・ミュージックやソウルへの深いリスペクトが、単なる懐古趣味にならず、現代のストリート・ロックとして見事に息づいています。
ガレージ・パンク好きはもちろん、ギターポップやパブロック、昭和歌謡的な哀愁メロディが好きなリスナーにとっても、本作は一度聴けば病みつきになること間違いなし。ヘッドホンのボリュームを限界まで上げて、彼女たちが放つ極上のツンデレ・ロックンロールにハートを撃ち抜かれてみてください。
🎵Damn It!


