Postmortem Twitch/Deeds of Abhorrence
「とにかく激しく、ノイジーで、お利口な音楽をすべて粉砕するような暴力的なグルーヴを体感したい!」 そんな地下に潜むスピード狂やデス・メタルジャンキーの心を撃ち抜くのが、2009年に名門インディーズ「1332 Records」からリリースされた『Deeds of Abhorrence』です。 本作が提示するのは、猟奇的なB級ホラー映画の毒々しい色彩と、デスメタルの冷徹な重低音、そして初期パンクのような剥き出しの初期衝動が最悪の形で握手を交わした「スプラッター・デッド・ロック」。 バチバチと這うような強靭なドラムセクションとうねるファズギターが、一瞬の猶予もなく聴き手の脳天をダイレクトに劈きます。
ジャンルと音楽性
本作の音楽ジャンルは、王道の「デスメタル(Death Metal)」「グラインドコア(Grindcore)」、そして初期衝動剥き出しの「ガレージ・パンク」に分類されます。 最大の特徴は、トリオ編成ならではの装飾を削ぎ落とした生々しいアンサンブルと、ゴアグラインドにも通じる獰猛な「極悪低音ボーカル」です。 ドラムマシンのようにタイトでありながら、どこか人間らしいヨレを感じさせるブラストビートや2ビートをベースに、重低音ベースとファズが暴れ狂う極悪ツインギターが絡み合います。狂気的な叫びと、思わず拳を突き上げたくなるようなフックのある展開が、強烈な不穏さと爽快感という奇跡的な黄金比で融合した、アンダーグラウンドの名盤にふさわしいサウンドデザインを確立しています。

Postmortem Twitch/Deeds of Abhorrence
おすすめのトラック
- 「P.P.」アルバムの幕開けを飾る、粘り気のある極厚ファンク・ビートとデスメタルの咆哮が強烈に化学反応を起こした暴動のキラーチューンです。 不穏なベースラインと、狂暴に切り刻まれるファズギターがテンションをこれでもかと高めていき、一気にボルテージを最高潮に引き上げます。聴く者の理性を一瞬で奪い去る、オープニングにふさわしい傑作です。
- 「Mr. Belvedere」前のめりに疾走する高速パンクビートと、獣の遠吠えのようなガテラルボイスが火花を散らす、本作きってのハイスピード・グラインド・ナンバーです。 短い演奏時間の中に、バンドが持つ野生的な初期衝動と高い演奏スキルがこれでもかと詰め込まれており、ライブハウスの最前列でモッシュに巻き込まれているかのような圧倒的な臨場感とスリルを堪能できます。
- 「Deed Of Abhorrence」アルバムのタイトルを冠した、不気味でゴージャスなホラー・サウンドスケープを想起させる、本作最大のハイライト・バラード(?)です。 地を這うような鈍く重たい重低音からじわじわとテンションを高めていき、中盤でファズギターが鋭利に引き裂くように炸裂する展開は圧巻の一言。ただうるさいだけではない、彼らの緻密なソングライティング能力の高さを証明する珠玉の一曲です。
- 「Splatter Pattern」タイトル(「血飛沫の模様」)通り、B級ホラー映画の血みどろな狂気をそのまま真空パックしたかのような、コケティッシュで破壊的な名曲です。 一度聴いたら口ずさみたくなるほど(叫びたじろぎたくなるほど)キャッチーなサビのフックと、バッキングギターのキレの良さが本当に秀逸。ガレージパンク好きはもちろん、ガチガチのハードコアファンも一瞬でノックアウトされる凄まじいエネルギーを放っています。
アルバム総評
『Deeds of Abhorrence』は、音楽カルチャーの過渡期であった2000年代末のインディーズ・デスメタルシーンにおいて、最もエッジの効いた尖った野生美と実験精神に溢れた奇跡のアートピースです。 ここで鳴らされているのは、デジタルで小綺麗に整えられたお行儀の良いメタルではなく、ネオンすら届かない地下ライブハウスの、汗とビールの匂いが染み付いた「生のバイブス」そのものです。
バチバチと耳を劈くドラミング、脳裏にこびりつくような哀愁のファズ、そして暴力的なまでにタフなアティテュード(姿勢)。これらは、今聴いても1ミリも色褪せていません。SpasmodicやFerocityのようなマイナーゴアグラインドが好きなリスナーはもちろん、初期の荒削りなストリート・パンク、ハードコア、ガレージロックを深く掘り下げたいすべてのスピード狂にとって、これは一生モノのコレクションとして手元に置いておくべき、カルトにして究極のマスターピースです。
🎵P. P.


