ジャマイカのレゲエ/スカの生ける伝説、Stranger Cole(ストレンジャー・コール)が、自身の代表的レパートリーを新たな息吹で蘇らせたアルバム『Storybook Revisited』。60年代の黄金時代を彷彿とさせる優しくも芯のある歌声と、熟練のバンド・サウンドが融合し、時代を越えて愛される珠玉のナンバーたちが現代に蘇る。まさにタイトル通り、“ストーリーブック”のように、1曲1曲が物語を紡いでいくような一枚だ。
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ジャンルと音楽性
『Storybook Revisited』は、スカ、ロックステディ、アーリーレゲエをベースに構成されている。音の質感はレトロでありながら録音はクリアで、Stranger Coleの穏やかで伸びやかなヴォーカルが際立つ。バックバンドには、ジャマイカのレジェンド級プレイヤーも参加しており、リズムセクションのグルーヴ感やホーンのアレンジが時代を超えてリスナーを引き込む。
音楽的には、懐古主義に陥らず、あくまで現代の耳にも馴染むポップ感覚があるのがポイント。オーセンティックな雰囲気を大事にしつつも、テンポや音圧のバランスなどは現代的にチューニングされており、ヴィンテージとモダンの絶妙な融合が本作の魅力の一つと言える。
おすすめのトラック
- 「Rough and Tough」
コールの代表曲の一つを再録。原曲の土臭さを残しつつも、程よいテンポ感と明瞭なホーン・セクションで聴きやすさが増している。現代の音響で蘇るこの名曲は、初心者にもおすすめの導入トラック。 - 「When You Call My Name」
スローなロックステディ調のバラード。甘く切ないメロディが際立つラヴソングで、コールのソフトで感情豊かな歌声が際立つ。アルバム全体に深みを与えるバランストラック。 - 「Artibella」
ロックステディの温もりを感じる珠玉のラブソング。優しく揺れるリズムと、ストレンジャー・コールの甘く伸びやかな歌声が心に染み入る。恋心をまっすぐに綴った歌詞も魅力で、シンプルながら深い余韻を残す名曲。ジャマイカン・ラブソングの原点とも言える一曲です。 - 「Love Your Neighbour」
温かなメッセージとリズミカルなスカ・ビートが心地よく調和した一曲。隣人愛を説くリリックはシンプルながら力強く、時代を超えて響く普遍的なテーマを軽快に届けてくれる。陽気でピースフルな空気感が魅力の、心和むトラックです。
アルバム総評
『Storybook Revisited』は、ただのセルフカバー集ではない。Stranger Coleという存在が歩んできた音楽人生の“再語り”であり、そこには熟練の技と深い愛情が込められている。彼の音楽を初めて聴く人にとっては、60年代ジャマイカの音楽の入口として最適であり、長年のファンにとっては“あの頃の名曲たち”をもう一度丁寧に噛み締める絶好の機会となる。
温かみのあるアナログ感、そして時代を超えた普遍的なメロディ。それらが一体となった本作は、ノスタルジーと今をつなぐ架け橋のような存在だ。Stranger Coleの魅力がギュッと詰まった、まさに“物語を再び紡ぐ”珠玉の作品。