ジャマイカが生んだ伝説的なディージェイ(DeJey)、Capleton(キャプルトン)による『Capleton Selects Reggae Dancehall』は、彼の長きにわたるキャリアの中から厳選されたヒット曲や重要曲を収録したコンピレーション・アルバムです。1990年代初頭のダンスホールシーンに登場し、初期のトースティングスタイルから、ルーツレゲエに回帰した「コンシャス・ダンスホール」の立役者となった彼の変遷を辿ることができます。全21曲というボリュームで、彼のトレードマークである炎のように熱く、パワフルなフロウと、ラスターファリの教義に基づいた強烈な社会批評や精神的なメッセージを余すところなく伝えています。このアルバムは、彼がシーンに残した巨大な足跡を俯瞰する上で最高の入門編であり、ファンにとっても必携の一枚です。
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ジャンルと音楽性
本作の音楽性は、主にレゲエ・ダンスホール、特にコンシャス・ダンスホールに分類されます。
- 炎のフロウ: Capletonの最大の特徴は、野太く、荒々しく、そして高速でたたみかける独特のトースティング(ディージェイイング)スタイルです。その声とエネルギーから、彼は「Fireman(消防士)」や「King Shango(キング・シャンゴ)」の愛称で呼ばれます。
 - コンシャスネス: 1990年代半ばからラスターファリに傾倒して以降、彼の歌詞は女性賛歌、社会の不正への怒り、そして精神的な覚醒を促すメッセージへと深くシフトしました。ルーツレゲエの伝統的なメロディやリズムに乗せることで、単なるダンスホールではない深みを持っています。
 - 多様なリディム: 収録楽曲は、当時のダンスホール特有のミニマルなリディムから、温かくオーガニックなルーツロック・レゲエのリディムまで、幅広くカヴァーしています。
 
おすすめのトラック
- 「Who Am I」
Capletonのキャリアにおける最重要曲の一つ。力強いメッセージと、耳に残るリディムが特徴で、彼が単なるダンスホールアーティストではなく、社会的な提言者であることを強く示しました。彼のパワフルなボーカルがリディムと完璧に調和しています。 - 「Raggy Road」
初期の代表曲。疾走感のあるリディムに乗せて、ゲットーの日常とそこから抜け出そうとする意志を歌い上げています。彼の持つストリート感覚とアグレッションが色濃く出た、初期ダンスホール期を象徴する一曲です。 - 「Fireman’s Anthem」
彼のニックネーム「Fireman」を冠したアンセム的なトラック。文字通り炎のように熱いエネルギーが爆発しており、聴く者を鼓舞する力強いメッセージが特徴です。ライブでも定番となっており、Capletonの代名詞とも言える高揚感があります。 - 「Jah Jah Lift My Head」
信仰と希望をテーマにした、ルーツレゲエ色の強いコンシャスなトラック。ゴリゴリとした力強さだけでなく、彼の歌声が持つ情感豊かな側面も垣間見えます。困難な状況の中で、神の助けを求める普遍的な祈りが込められています。 - 「Gun Talk」
社会の暴力や武器に対するシリアスなトピックを扱った楽曲。Capletonの初期の楽曲には、このようにゲットーの厳しい現実を告発するようなハードなテーマがしばしば見られ、彼のメッセージの幅広さと真摯さが伝わってきます。 
アルバム総評
『Capleton Selects Reggae Dancehall』は、Capletonが「キング・シャンゴ」として君臨するまでの道のりを、楽曲を通して追体験できる貴重なコレクションです。彼の音楽は、ダンスホールの初期衝動と、ラスターファリ思想による哲学的な深みを両立させており、ジャマイカ音楽の歴史における大きな転換点を象徴しています。彼の熱い歌声と揺るぎないメッセージは、時代を超えてリスナーに力を与え続けるでしょう。レゲエ/ダンスホールの「炎」を体感したいリスナーに強くお勧めする一枚です。


  
  
  
  
