1986年にリリースされたPinchersの『Bandelero』は、ジャマイカのダンスホール・レゲエの黄金時代を象徴する一枚として、今なおレゲエファンから愛され続けています。タイトル曲「Bandelero」のメロディアスでキャッチーなフックは、当時のダンスホールシーンにおいて異彩を放ち、Pinchersの名を国際的に知らしめるきっかけにもなりました。
このアルバムは、80年代中期のスレンテン・リディム(Sleng Teng Riddim)以降のデジタル化されたレゲエサウンドを体現しており、従来のルーツ・レゲエと比べてよりテンポが速く、リズミカルかつダンサブルな作風が特徴です。プロデューサーには、ジャマイカの重鎮キング・ジャミー(King Jammy)が関わっており、トラックの音質やミキシングも当時の最先端をいく高いクオリティを誇っています。
Pinchersの魅力は、レゲエ・アーティストとしては珍しく、甘くソウルフルなボーカルスタイルにあります。彼の声は、ラバダブのような攻撃的なトースティングとは一線を画し、メロディに乗せて柔らかく、しかし印象的に歌い上げるスタイルで、聴く者の心に残ります。
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ジャンル:ダンスホール・レゲエ
『Bandelero』は、80年代デジタル・ダンスホールの代表的なアルバムです。電子ドラムとシンセベースが効いたビートは、現代のレゲトンやアフロビートにも通じる要素があり、時代を超えて影響を与え続けています。特にこのアルバムでは、ラバーズ・ロックの甘さとダンスホールのタフさが絶妙に融合されています。
おすすめのトラック
- 「Bandelero」
アルバムのタイトル曲にして最大のヒット。ラテン風味のメロディと「バンデレロ〜」という印象的なコーラスが頭から離れません。ダンスホールファンならずとも一度は耳にしたことのある名曲。 - 「Hold Me」
恋人への想いを歌ったロマンチックな一曲。優しく語りかけるようなボーカルとミニマルなトラックが心地よい空間を作り出します。 - 「Si Mi Ya」
ピンチャーズのスムースなヴォーカルが、曲全体を心地よく包み込みます。まさにダンスホール黄金期の軽快な魅力を象徴するナンバー。 - 「Don’t Change on Me」
穏やかなリズムに乗せて、変わらぬ愛を願うリリックがしっとりと心に響きます。彼の柔らかでスムーズな歌唱が感情を丁寧に表現し、ダンスホールとは一味違う繊細な魅力を感じさせるナンバーです。
総評
『Bandelero』は、Pinchersの歌唱力とダンスホール・サウンドの魅力を余すところなく伝える名盤です。80年代後半のジャマイカ音楽シーンを象徴するこのアルバムは、当時のダンスホール文化のエネルギーと創造性を鮮やかに映し出しています。ラスタファリズムに根ざしたメッセージ性よりも、恋愛やライフスタイルをテーマにした楽曲が多く、ライトにレゲエを楽しみたいリスナーにもおすすめです。
レゲエ初心者からマニアまで、幅広い層に響く『Bandelero』は、まさにダンスホール・クラシックと呼ぶにふさわしい一枚です。