Obongjayarの『Paradise Now』は、ナイジェリア出身でロンドンを拠点に活動するアーティストが描き出す、スピリチュアルかつ社会的なビジョンを凝縮した作品だ。自身のルーツとグローバルな感性を融合し、ソウル、ヒップホップ、アフロビート、エレクトロニカを自在にミックスしながら、自己表現と変革のメッセージを力強く放つ。タイトルに込められた“楽園”とは、単なる場所ではなく、精神の解放であり、希望のメタファー。その音像はときに鋭く、ときに温かく、聴く者の内側に静かに火を灯す。
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ジャンルと音楽性
本作は一言でカテゴライズするのが難しい。ヒップホップのリズム構造に、ソウルフルなヴォーカル、ナイジェリア由来のパーカッシブなビート、さらにはポエトリーのような語り口までが交差し、ジャンルの枠を軽やかに飛び越える。アフロ・フューチャリズムとも言えるその音作りは、サンプリングよりも“声”と“空間”を重視し、内省と社会批評が並走するコンセプチュアルなアルバムに仕上がっている。
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おすすめのトラック
- 「Jellyfish」
浮遊感と内省が交差するこのトラックは、Obongjayarならではの囁きと怒りのあいだを漂うようなヴォーカルが印象的。リズムはミニマルだが、そのぶん言葉のひとつひとつが突き刺さる。自己のアイデンティティと感情の不確かさを、クラゲのようにふわりと漂わせながらも、芯のあるメッセージとして響かせている。静かに挑発的で、じわじわと効いてくる1曲。 - 「Not In Surrender」
この曲は、静かな闘志と深いスピリチュアリティが共鳴する力強いアンセム。エレクトロニックなビートとソウルフルなヴォーカルが絡み合い、抵抗と覚悟を内に秘めたサウンドを築き上げている。タイトルどおり、屈することのない精神がにじみ出るメッセージ性の高いトラックだ。心に静かに火を灯す、Obongjayarの真骨頂。 - 「It’s Time」
燃えるような情熱とスピリチュアルな覚醒が交錯する一曲。重厚なビートとリズミカルなフロウに、祈りのようなヴォーカルが重なり、“今こそ動くとき”という決意が全身に響く。Obongjayarならではのメッセージ性と音のダイナミズムが光る、希望と挑戦のアンセム。 - 「Not In Surrender」
静かなる闘志が燃え上がるソウルフルな一曲。柔らかなビートと浮遊感のあるサウンドに乗せて、決して屈しない心を語るObongjayarの声が胸を打つ。内省と抵抗の狭間で揺れる強さが、静かに力強く響いてくる。
アルバム総評
『Paradise Now』は、単なる音楽作品に留まらず、Obongjayarというアーティストの“今”を封じ込めた詩的なマニフェストでもある。彼が持つ多様な音楽的バックグラウンドが自由に混ざり合い、それぞれの曲が独立した物語を持ちながらも、全体として一つの大きなメッセージを描いている。聴く者に問いかけ、揺さぶり、そして未来へと開かれた感性を呼び覚ます、そんなアルバムである。ジャンルの境界を超えた音楽を求めるすべてのリスナーに、強くおすすめしたい一枚だ。