Blondie『Eat to the Beat』
1979年にリリースされたブロンディの4枚目のアルバム『Eat to the Beat(恋のレナウン)』は、世界的な大ヒットを記録した前作『Parallel Lines(恋の行方)』の勢いそのままに制作された傑作です。デボラ・ハリーのアイコンとしての魅力が頂点に達していた時期であり、本作はバンドとして最も脂が乗っていた瞬間の記録でもあります。全曲のビデオクリップを制作するという当時としては画期的な試みも行われ、視覚と聴覚の両面から時代の最先端を走り抜けた一枚です。
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Amazon.co.jp: Eat To The Beat : ブロンディ: デジタルミュージック
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ジャンルと音楽性
本作の最大の特徴は、一つの枠に収まりきらない音楽的多様性です。彼らのルーツであるパンクやパワー・ポップをベースにしつつも、ディスコ、レゲエ、ファンク、さらにはモータウン風のサウンドまでを自由自在に取り入れています。マイク・チャップマンによる洗練されたプロデュースは、ガレージ・バンド的な荒々しさと、チャートを席巻するポップ・センスを見事に融合させました。「何でもあり」でありながら、デボラのクールで甘美なボーカルがすべてを「ブロンディ流」にまとめ上げています。
おすすめのトラック
- 「Dreaming」 アルバムの冒頭を飾る、疾走感あふれるパワー・ポップの金字塔です。クレム・バークのド派手でダイナミックなドラミングが楽曲を牽引し、デボラの浮遊感のあるボーカルが夢見心地な世界を作り出しています。
- 「The Hardest Part」 バンドのファンキーな一面が強調されたナンバーです。ナイル・ロジャース(シック)の影響も感じさせるタイトなカッティングギターとグルーヴ感のあるベースラインが、都会的でスリリングな夜を演出します。
- 「Union City Blue」 切なさと高揚感が同居するニューウェイヴの名曲。ニュージャージーの工業地帯を背景にした叙情的なリリックと、厚みのあるギターサウンドが重なり合い、胸を締め付けるような美しいメロディを奏でます。
- 「Atomic」 ディスコ・ビートとマカロニ・ウェスタン風のギター、そして近未来的なシンセサイザーが融合した異色作。ダンスフロアを熱狂させるビートの中で、デボラのミステリアスな歌声が際立つ、中毒性の高いトラックです。
アルバム総評
『Eat to the Beat』は、単なるヒット曲の詰め合わせではありません。パンクのDIY精神を失わずに、メインストリームを自分たちの色に染め上げたブロンディの知性と野心が詰まっています。1曲1曲の完成度が高く、アルバムを通して聴くことで、当時のニューヨークが持っていた混沌とした、しかし最高にクールな熱気を感じることができます。ポップ・ミュージックの歴史において、これほどまでに大胆で、かつ愛らしいアルバムは他にありません。



