Roxy Music/Country Life
1974年にリリースされたRoxy Musicの4作目『Country Life』は、バンドが最も脂の乗っていた時期に放たれた、目も眩むような傑作です。ドイツ人モデルを起用したスキャンダラスなジャケットの視覚的インパクトもさることながら、その中身はブライアン・フェリーの美学が細部まで浸透した、極めて完成度の高いアート・ロックへと昇華されています。前作『Stranded』で確立した洗練されたスタイルをさらに押し進め、ヨーロッパ的な気品とロックのダイナミズムを完璧に両立させた、彼らの黄金期を象徴する一枚です。
ジャンルと音楽性
本作のジャンルは、グラム・ロックを基盤にしつつも、パブ・ロック的な泥臭さやクラシック音楽のような優雅さを併せ持つ「アート・ロック」と呼ぶのが相応しいでしょう。アンディ・マッケイのオーボエやサックス、フィル・マンザネラの技巧的なギター、そしてブライアン・フェリーの震えるようなクロマチック・ボーカルが絡み合い、めくるめく万華鏡のようなサウンドスケープを作り出しています。都会的なデカダンス(退廃)を漂わせながら、同時に生命力に溢れた野性味を感じさせるのが本作の大きな特徴です。

Roxy Music/Country Life
おすすめのトラック
- 「The Thrill of It All」 アルバムの冒頭を飾る、疾走感に満ちた長尺のロック・ナンバーです。フィル・マンザネラの唸るようなギターリフから始まり、後半にかけてテンションが高まっていく構成は圧巻で、リスナーを一気にロキシーの世界観へと引き込みます。
- 「Three and Nine」 ノスタルジックな雰囲気を湛えた、優雅でメロディアスな楽曲です。アンディ・マッケイの管楽器が哀愁を誘い、ブライアン・フェリーのロマンチックな歌唱が、どこか古き良き時代の映画を観ているような気分にさせてくれます。
- 「Out of the Blue」 エディ・ジョブソンのバイオリンが主導する、ドラマチックな一曲です。曲の中盤から後半にかけてフェイザー(音響効果)が強くかかったサウンドはサイケデリックな陶酔感を生み、バンドの実験精神が遺憾なく発揮されています。
- 「All I Want Is You」 キャッチーなメロディと、エネルギッシュなコーラスが印象的なポップ・ナンバーです。ストレートなラヴソングの体裁を取りながらも、ロキシーらしい捻りと洗練されたアレンジが施されており、彼らのシングル・ヒット曲の中でも屈指の完成度を誇ります。
アルバム総評
『Country Life』は、初期の実験的な混沌から、より構築的な美しさへと移行したRoxy Musicの到達点と言えるでしょう。一曲一曲の個性が際立っていながら、アルバム全体としては一本の華麗な糸で繋がっているような統一感があります。ロックというフォーマットを借りて描かれた、高度に知的なエンターテインメント作品であり、発表から半世紀が経とうとしている今なお、その輝きは全く色褪せることがありません。グラム・ロックのファンのみならず、全てのロック愛好家が一度は通るべき「聖域」のようなアルバムです。
🎵The Thrill Of It All


