1966年にリリースされた『Aftermath』は、ザ・ローリング・ストーンズにとって大きな転換点となったアルバムだ。それまでの彼らは、ブルースやR&Bのカバーを中心としたバンドだったが、この作品で初めて全曲がミック・ジャガーとキース・リチャーズによるオリジナル曲となり、バンドの音楽性が大きく進化した。また、ロックンロールの枠を超え、フォーク、サイケデリック、バロック・ポップなどの多彩な要素が取り入れられた点でも特筆すべきアルバムである。
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ジャンルとサウンドの特徴
『Aftermath』は、基本的にはロックンロールを軸としながらも、当時の音楽シーンの流れを巧みに取り入れたアルバムだ。特に、ブライアン・ジョーンズの貢献は大きく、スライドギター、シタール、マリンバ、ダルシマーといった多様な楽器を導入し、アルバム全体に独自のムードを生み出している。シタールが印象的な「Paint It, Black」や、マリンバが異国情緒を醸し出す「Under My Thumb」などは、その代表的な例だ。
このアルバムには、英国盤と米国盤の2つのバージョンが存在し、収録曲が異なる。特に、米国盤には「Paint It, Black」が追加されており、アルバムの印象をよりダークで実験的なものにしている。
おすすめのトラック
- 「Paint It, Black」
シタールの響きが異彩を放つ、サイケデリック・ロックの先駆け的ナンバー。ダークな歌詞と疾走感のある演奏が特徴で、後のオルタナティブ・ロックにも影響を与えた名曲。 - 「Under My Thumb」
ブライアン・ジョーンズのマリンバが印象的な、ファンキーな楽曲。歌詞は支配的な関係性を描いており、ジャガーの挑発的なボーカルが魅力的。 - 「Lady Jane」
バロック調のバラードで、ダルシマーの響きが美しい幻想的な雰囲気を作り出している。ストーンズのワイルドな一面とは対照的な繊細な楽曲。 - 「Stupid Girl」
皮肉たっぷりの歌詞とキャッチーなリフが特徴の、エネルギッシュなガレージ・ロックナンバー。ストーンズらしい毒気が漂う一曲。
アルバムの魅力と影響
『Aftermath』は、The Rolling Stonesにとって最初の本格的なアート志向のアルバムであり、単なるロックンロール・バンドからクリエイティブな音楽集団へと進化したことを証明した作品でもある。このアルバムの音楽的な実験は、後の『Their Satanic Majesties Request』や『Beggars Banquet』といったアルバムへと繋がり、ストーンズの音楽性をさらに深化させていった。
また、この作品は後のガレージロックやパンクロックのアーティストたちにも影響を与え、シンプルながらも攻撃的なサウンドや、社会風刺的な歌詞のスタイルは、The StoogesやSex Pistolsといったバンドにも受け継がれた。
結論
『Aftermath』は、The Rolling Stonesが単なるR&Bバンドから脱却し、自らの音楽を確立した歴史的なアルバムだ。豊かなサウンドアレンジ、攻撃的でありながらも洗練された楽曲、そして社会的なテーマを扱った歌詞が融合し、60年代ロックの名盤として今なお評価されている。もしストーンズの音楽に触れるなら、このアルバムは避けて通れない一枚である。