1980年にリリースされたDiana Rossの代表作『Diana』は、ソロキャリアにおける最高傑作のひとつとして今なお語り継がれるアルバムです。特に今回のDeluxe Editionでは、オリジナルの魅力に加え、シック(Chic)のナイル・ロジャースとバーナード・エドワーズによるプロデュースの真価をより深く味わえる内容となっています。ディスコからソウル、ポップスへと自在に行き来しながら、当時の音楽シーンを鮮やかに塗り替えた本作は、まさにダイアナ・ロスのキャリアを決定づけた歴史的作品です。
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ジャンルと音楽性
『Diana』は基本的にディスコを核としていますが、そこにファンクやソウル、さらにはポップの要素が巧みに融合しています。特にシックの持ち味であるグルーヴィーなベースラインと、きらびやかなギターカッティングがサウンドの屋台骨を支えており、ダイアナ・ロスのしなやかで艶やかな歌声と絶妙に調和しています。Deluxe Editionでは、オリジナル・ミックスと後に再編集されたヴァージョンを聴き比べることができ、音楽的な奥行きをより深く楽しむことができます。
おすすめのトラック
- 「Upside Down」
アルバムのオープニングを飾る最大のヒット曲。軽快なベースラインとリズムギターの絡み合いが中毒性を生み、ロスのボーカルがその上を自由に舞います。彼女のキャリアを代表する1曲です。 - 「I’m Coming Out」
ポジティブなエネルギーに満ちたアンセム。解放感にあふれ、アイデンティティを祝福する歌詞は時代を超えて愛され続けています。近年でも数多くのアーティストが引用するほどの影響力を持ちます。 - 「Tenderness」
柔らかいメロディと温かみのあるアレンジで、アルバムにおけるバランスを取る楽曲。ディスコ色の強い他の曲と対比し、ロスのボーカリストとしての繊細な一面を引き出しています。 - 「My Old Piano」
軽快でキャッチーなポップ・チューン。遊び心のある歌詞とメロディで、ディスコフロアを飛び出して広く楽しめる楽曲です。Deluxe Editionではオリジナル・ミックスの鮮やかさも再確認できます。 - 「Friend to Friend」
ややバラード寄りで、ソウルフルな側面が際立つナンバー。ロスの表現力の豊かさをじっくり堪能できます。
アルバム総評
『Diana (Deluxe Edition)』は、ディスコ黄金期の勢いをそのままに閉じ込めながらも、時代を超えて普遍的な魅力を放つ名盤です。シックのグルーヴとダイアナ・ロスのボーカルが融合することで生まれたサウンドは、洗練されながらも躍動感にあふれ、聴く者を解放感と幸福感で満たします。Deluxe Editionの価値は、オリジナルのエネルギッシュな魅力を保ちつつ、音のディテールを再発見できるところにあります。『Upside Down』や『I’m Coming Out』といったアンセム級の楽曲だけでなく、隠れた佳曲にまで光を当てることで、このアルバムがただのヒット作にとどまらず、音楽史に深く刻まれた作品であることを再認識させてくれます。