イギリス・エセックス出身のバンド、Morning Paradeが2012年にリリースしたセルフタイトルのデビューアルバム『Morning Parade』は、煌びやかなメロディと壮大なスケール感でUKロックの伝統を継承しつつ、新しい風を吹き込んだ作品だ。ColdplayやSnow Patrolを思わせる叙情性と、U2的なアンセム感を持ち合わせながら、独自のポップセンスで仕上げられた楽曲群は、スタジアムを満たすだけの力強さと、リスナーの心に寄り添う親密さを同時に備えている。
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Amazon.co.jp: Morning Parade : モーニング・パレード: デジタルミュージック
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ジャンルと音楽性
本作はオルタナティヴ・ロック、ブリットポップ、ポストブリットポップの系譜に連なる音楽性を軸としつつ、シンセサイザーを大胆に取り入れることでモダンなエレクトロポップの要素も注入している。ギターリフやリズム隊のドライブ感はしっかりとロックの骨格を保ちながらも、煌めくようなシンセが楽曲に奥行きを与え、壮大なサウンドスケープを生み出しているのが特徴だ。スティーヴ・スパロウの伸びやかで情感豊かなボーカルが全体を牽引し、エモーショナルかつダイナミックな聴き心地を実現している。
おすすめのトラック
- 「Headlights」
オープニングを飾るエネルギッシュなナンバー。疾走感あるビートと高揚感あふれるメロディが印象的で、バンドのポテンシャルを余すことなく提示する。アルバム全体のテンションを一気に引き上げる一曲。 - 「Under the Stars」
叙情的なメロディと壮大なコーラスワークが光る楽曲。夜空を見上げるようなスケール感を持ちつつ、どこか親密さも感じられる。アンセム性が強く、ライブでのシンガロングが目に浮かぶ。 - 「Us & Ourselves」
バンドのポップな側面が際立つ一曲。軽快なリズムとシンセの絡みが印象的で、耳に残るキャッチーさを持っている。同時に歌詞には自己探求やアイデンティティに関するテーマが込められており、単なるポップソング以上の深みを持つ。 - 「Close to Your Heart」
感情をストレートにぶつける力強いロックチューン。ボーカルの熱量とエッジの効いたギターが融合し、バンドのダイナミズムを感じさせる。アルバムの中盤を力強く彩る存在。 - 「Born Alone」
静と動のコントラストが映える楽曲。イントロの繊細な響きからサビにかけて一気に爆発する展開は、バンドのアレンジ力を示す好例である。ラストに向けて高まるカタルシスが心を打つ。
アルバム総評
『Morning Parade』は、デビュー作にして既に完成度の高いサウンドを展開したアルバムであり、UKロックの伝統を受け継ぎつつも新鮮さを失わない絶妙なバランス感覚が光る作品だ。壮大なスケールのサウンドはリスナーを包み込み、情熱的なボーカルと叙情的なメロディが強く心に残る。商業的には大きなブレイクに至らなかったものの、バンドが持つポテンシャルと楽曲の完成度は高く評価されるべきであり、今なお再生する価値のある隠れた佳作といえるだろう。