1992年にリリースされたRideのセカンドアルバム『Going Blank Again』は、デビュー作『Nowhere』でシューゲイザーの旗手として注目された彼らが、新たな音楽的ステージへと踏み出した作品だ。その後、リマスター音源に加えボーナストラックを収録した『Going Blank Again (Expanded)』は、当時の瑞々しい勢いを現代的なクオリティで楽しめる決定版とも言える。疾走感あふれるギターワークと美しいメロディ、そして轟音と繊細さを併せ持つサウンドスケープは、今なお90年代UKロックの輝きを体感させてくれる。
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ジャンルと音楽性
Rideといえばシューゲイザーの代名詞的存在だが、本作ではその枠に収まりきらない大胆な音楽性が展開されている。フィードバックやリバーブを駆使したギターの厚みに加え、ポップでキャッチーなメロディやプログレッシヴな展開を盛り込み、サイケデリック・ポップやブリットポップの先駆けとなる要素を提示している点が特徴的だ。轟音の中に光るメロディラインはよりクリアに際立ち、バンドが単なるシューゲイザーの一派ではなく、独自のロック表現を模索していたことを強く印象づける。
おすすめのトラック
- “Leave Them All Behind”
8分を超える大作でアルバムの幕開けを飾る。重厚なオルガンとギターの洪水が押し寄せる壮大なサウンドスケープは圧巻。Rideが持つスケール感とアグレッションを象徴する一曲。 - “Twisterella”
本作からのシングル曲で、ポップかつ軽快なメロディが魅力。Rideの作品の中でも特にキャッチーで、のちのブリットポップの流れを先取りしたような明るさを持っている。 - “Chrome Waves”
ドリーミーな雰囲気を纏ったナンバー。ギターの揺らめくようなエフェクトと、柔らかいボーカルが幻想的な空気を作り出し、アルバムに深みを加える存在となっている。 - “Time of Her Time”
疾走感あるロックチューン。これまでの浮遊感から一転し、ストレートで力強いサウンドを鳴らし切る姿勢が印象的。バンドのロックバンドとしての側面を強く打ち出している。 - ボーナストラック群(Expanded盤より)
シングルB面曲やライブ音源を加えたExpanded盤では、当時のバンドの勢いや試行錯誤がより多面的に楽しめる。オリジナルアルバムの完成度をさらに広げる価値ある追加要素だ。
アルバム総評
『Going Blank Again (Expanded)』は、Rideがシューゲイザーの枠を超えて大きく羽ばたいた瞬間を記録するアルバムだ。轟音と繊細なメロディのバランス、実験性とポップ性の同居は、後続のUKロックに大きな影響を与えた。リマスターによってサウンドの厚みと鮮明さが増し、ボーナストラックの収録によって当時の空気感をより深く味わえる点も魅力的。シューゲイザーを超えて「90年代ロックの核心」に触れることのできる名盤であり、Rideの創造力の高さを改めて感じさせる作品である。