ロシアの古都トゥーラから現れたStressor(ストレッサー)は、現代のサイコビリー・シーンをリードするバンドの一つです。彼らが2008年に発表したアルバム『No More Panic』は、その名の通り、一切の迷いを感じさせないアグレッシブなエネルギーに満ち溢れています。東欧のシーンから世界へとその名を轟かせた本作は、伝統的なロカビリーの熱量を維持しつつも、サイコビリー特有のスピード感とパンキッシュな破壊力が完璧なバランスで融合した、まさにジャンルの教科書とも言える傑作です。
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ジャンルと音楽性
本作のジャンルは、王道の「オールドスクール・サイコビリー」に分類されます。しかし、単に過去のスタイルをなぞるだけではなく、非常にタイトで洗練された演奏技術が特徴です。 音楽性の核となるのは、火花を散らし限界を超えて刻まれる超高速のスラップベースと、クリーンながらも鋭い切れ味を持つギターワークです。ボーカルの熱量も高く、英語で歌われる歌詞からは、ロシア出身という枠を超えたグローバルなパンク精神が伝わってきます。メロディアスでありながらも、常に「攻め」の姿勢を崩さないそのサウンドは、ダンスフロアを一瞬でモッシュピットへと変える力を持っています。
このアルバムの中からおすすめのトラック
- 「No More Panic」 アルバムのタイトルチューンであり、彼らの名刺代わりとも言える一曲です。開幕からフルスロットルで駆け抜けるリズム隊と、煽り立てるようなコーラスが、聴く者のボルテージを一気に最高潮まで引き上げます。
- 「Hit the Pig」 重量感のあるスラップ音が印象的な一曲です。ひたすらタイトに刻まれるリズムが心地よく、シンプルながらもサイコビリーの本質的な楽しさが詰まっています。ライブでも拳を突き上げたくなるような力強さがあります。
- 「Earthquake Coming」 その名の通り、地面を揺らすような激しいビートが特徴です。予測不能な展開とスピーディーな演奏は、まさに地震のような衝撃をリスナーに与えます。Stressorの演奏能力の高さが遺憾なく発揮されたスリリングなトラックです。
- 「Magician」 どこか怪しげでトリッキーなメロディラインが光る楽曲です。サイコビリーらしいホラーチックな雰囲気を纏いつつ、キャッチーなフックも忘れない構成は、彼らのソングライティングの巧みさを物語っています。
- 「Bang」 爆発的なエネルギーを放つ、アルバム終盤のキラーチューンです。短くもインパクトの強いフレーズが繰り返され、聴き終わった後には心地よい疲労感と高揚感が残ります。まさに「Bang!」と弾けるような爽快な一曲です。
アルバム総評
『No More Panic』は、サイコビリーというジャンルが持つ「不良の遊び心」と「純粋な音楽的興奮」を凝縮した一枚です。ロシアのバンドらしい力強さと、世界基準のテクニックが融合しており、全編を通して一切の捨て曲がありません。初心者にはサイコビリーの入門編として、コアなファンには血を沸き立たせる愛聴盤として、あらゆるリスナーを満足させるパワーを持っています。10年以上前の作品ながら、今なお色褪せないその衝撃は、まさにタイムレスなパンク・アルバムと言えるでしょう。




