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『Kicked Outta Purgatory… Psychobilly』は、狂気・ロカビリー・パンクが渦を巻く、魂の暴走列車!燃えるスラップベースと悪魔の笑い声が交錯するこのコンピレーションアルバムは、天国でも地獄でもない“煉獄のダンスホール”から放たれた、究極のサイコビリー・アンセム集だ

compilation Compilation
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『Kicked Outta Purgatory… Psychobilly』は、2000年代初頭のサイコビリー・シーンを俯瞰する上で極めて重要なコンピレーション・アルバムです。このタイトル(「煉獄から蹴り出された…サイコビリー」)が示す通り、メインストリームから外れた場所で熱狂するサイコビリーの「罪人たち」のエネルギーを一同に集めた一枚です。NekromantixDemented Are GoHorrorPopsといったジャンルのトップランナーから、当時頭角を現し始めた新鋭まで、世界中のバンドが参加しており、その総数は29トラックにも及びます。荒々しいウッドベースのスラップ音、ホラー・SF・アウトローな世界観、そしてパンクの衝動が炸裂する本作は、サイコビリーというジャンルの多様性と爆発力を体感するための最高のガイドブックと言えるでしょう。

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ジャンルと音楽性

このコンピレーションの核となるジャンルは、もちろんサイコビリーです。しかし、その音楽性は単一ではありません。収録バンドは、初期のロウでガレージ感の強いスタイルから、メロディックで洗練されたネオ・ロカビリーの影響が強いサウンド、さらにはパンクやハードコアの要素を強く取り込んだ攻撃的なスタイルまで、多岐にわたります。

共通しているのは、ウッドベースのスラップ奏法による強靭なリズムと、ホラーやオカルト、アウトローなテーマを好んで扱う歌詞の世界観です。多くの楽曲は性急で前のめりなビートを特徴とし、ダンス・ミュージックとしての機能も果たしています。一方で、HorrorPopsのように女性ヴォーカルをフィーチャーし、よりポップでダークな魅力を持つバンドも含まれており、当時のサイコビリー・シーンがいかに国際的かつ多様な発展を遂げていたかを知る貴重な資料となっています。

おすすめのトラック

  • Koffin Kats「V8 Nightmare」
    デトロイト出身のバンドらしい荒々しいパンクの精神が色濃く出ており、タイトルの「V8」が示す通り、V8エンジン全開で暴走するような疾走感が特徴。ウッドベースのスラップは切れ味が鋭く、ヴォーカルのダミ声と相まって、聴く者に暴力的なまでの高揚感を与えます。彼らが後にメロディックな要素を取り込むようになる前の、純粋で剥き出しのサイコビリー・パンクを体現したキラーチューンです。
  • Demon City Wreckers「The Horror of Party Beach」
    サイコビリーならではの高速なウッドベースのスラップを基調としつつ、ギターからはザラついたサーフ・ロックのフィーリングが強く感じられます。ビーチとモンスターというテーマが融合した、ユーモラスかつアグレッシブな楽曲で、初期のサイコビリーが持つチープなホラー映画への愛情と、ダンスフロアでの狂乱を求めるエネルギーが、わずか2分強の間に凝縮されています。シンプルながらも中毒性があり、コンピレーションの中でも異彩を放つ「ホラー・サーフ」ナンバーです。
  • The Formaldehydes「Lady Death」
    タイトなドラムと唸るようなウッドベースの強烈なスラップが特徴で、スピード感とグルーヴを両立させています。荒々しいパンクの要素を保ちながらも、メロディックなヴォーカルラインとギターリフが加わることで、モダンで洗練されたアメリカン・サイコビリーに仕上がっています。この曲は、The Formaldehydesの持つ、激しさとキャッチーさのバランスが取れた魅力を見事に示しています。特にライブでは非常に盛り上がる、アップテンポなキラーチューンです。
  • Concombre Zombi「Buried Alive」
    他のバンドの爆発的なスピード感とは異なり、この曲は比較的ミッドテンポで粘り気のあるグルーヴを持ち、ドゥーミーで不気味な雰囲気を漂わせています。ベースのスラップは重く、ギターリフは単調ながらも耳に残るメロディを奏で、暗いホラー・パンクのムードを強調しています。まるで棺桶の中で聴いているかのような閉塞感と狂気を表現した、ユニークで異彩を放つ一曲です。
  • Coffin Creeps「Into the Valley」
    ウッドベースとドラムが織りなす強靭なリズム隊が牽引する、非常にダンス・フロア志向のサウンドで、複雑な技巧よりも衝動とノリを重視した演奏スタイルです。バンド名が示す通り、「墓場の忍び寄る者たち」の持つ、ダークで遊び心のあるB級ホラー的な雰囲気が詰まった、シンプルで強烈なエネルギーを持つ一曲です。

アルバム総評

『Kicked Outta Purgatory… Psychobilly』は、サイコビリーの魅力が多面的であることを証明する優れたコンピレーションです。初期のロウネスから、メロディの進化、そしてパンク・ハードコアとの融合に至るまで、当時のシーンの活況と多様性がこの一枚に凝縮されています。収録アーティストは世界各国に及び、それぞれのバンドが持つ個性と狂気がぶつかり合いながら、全体として圧倒的なハイテンションを保っています。これは単なる楽曲集ではなく、ウッドベースの唸り声に魂を売り渡した「煉獄から蹴り出された」者たちの熱いマニフェストであり、サイコビリーの世界に足を踏み入れたい者にとって、これ以上ない刺激的な入門書となるでしょう。

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